1999年発表、一線から身を引いていた
ジェフ・ベックが発表したアルバムです。85年
『Flash』とこのアルバムの間に、『Jeff Beck's Guitar Shop』というアルバムが出ていたんですが(89年)、ジャケットがあまりにもダサく、しかもあのガッカリなフラッシュの後だったので、とても聴く気になれずにスルー。だから、僕にとってこのアルバムは本当に久しぶりのジェフ・ベックのニュー・アルバムでした。そしてこれが
懐古趣味に陥るどころか当時の最先端を取り入れ、しかもあのとんがったロック・フュージョンなギターが炸裂するという、僕の想像のはるか上を行く素晴らしい音楽でした! バック・トラックは生と打ち込みのミックスでしたが、これが安っぽいどころか、当時の流行を駆使したサウンドでクソカッコよかったです。
ハード・テクノ・ロックとでも言うようなサウンドなんですが(そんな用語、きっとないですね^^;)、サンプラーの使い方、ドラムンベース的なリズムセクションのサウンドメイク、どれもゾクゾクきました(^^)。ライブでの定番となった1曲目「What mama said」のバックトラックなんて、カッコよすぎてたまらないです。
これはプロデューサーでシンセやプログラミングも担当したっぽいトニー・ハイマスという人の仕事かな?そうそう、
バックトラック制作だけでなく、このアルバムに入っていた曲の大半がトニー・ハイマスさんの書いたものでした。このトニー・ハイマスという人は間違いなく優秀、音楽オタクがDTMでピコピコやって音を組み合わせただけじゃない…調べてみたら、このアルバムがでた99年に、サム・リヴァースとデュオ・アルバムを出してピアノ弾いてました…
本物じゃねえか(^^)。ジェフ・ベックより全然格上ですね、こりゃ。 そしてその上で弾きまくる
ジェフ・ベックのギターは、全盛期の70年代中ごろより凄いのではないかというほどの切れ味でした。ジェフ・ベックって、よく聴くとあんまり長い小節は弾かないんですよね。アドリブ自体は短いんですが、その短い時間で暴れまわる、みたいな。たまに長いアドリブをするときもありますが(このアルバムだとM5「Space for the Papa」とか)、そうなると瞬間瞬間はカッコよくても全体がまとまらない、みたいな(^^;)。そういうスタイルだと、KOパンチとなる短いギターソロを生かすための作編曲が重要になりますが、その完成度が素晴らしかったです。
というわけで、
ジェフ・ベックの短いギターソロの破壊力と、それを活かすようデザインされた曲のコンビネーションが素晴らしいアルバムでした。収録時間が長くてちょっとだれたり、インチキくさい中国音楽みたいなものもありましたが、カッコよいところの素晴らしさが抜群すぎて、そんなのは無問題。99年というと、僕はリアルタイムのロックをまったく聴かなくなっていたので知らないだけかも知れませんが、この音楽に似た音楽をいまだに知りません。ベースになった音楽は色々と分かるものの、それらをくみ上げて創られたものが素晴らしく、またジェフ・ベックのラフなギターがまたクソカッコよかったです。ジェフ・ベックって、ヤードバーズの時代から独創性に富んだ人でしたが、
55歳になって若いミュージシャンより尖った事をやっちゃうんだからすごいです。ジェフ・ベックを70年代で卒業し、90年代以降を知らない方も多いと思うのですが、これは買いですよ、奥さん。
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