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『J.S.バッハ / オルガン作品集 カール・リヒター(org)』 グラモフォン/アルヒーフ録音盤

JSBach_OrganSakuhinshuu_Richter_Archive.jpg 指揮者/オルガン奏者のリヒターが、グラモフォンとアルヒーフに残したバッハのオルガン演奏集、CD5枚組です!バッハのオルガン曲は膨大な数が残っていて、リヒターも何度か録音していますが、彼がグラモフォンとアルヒーフに残した録音はこれですべてだそうです。

 まずは、勉強になった事を。トリオ・ソナタ」は、バロック室内楽の中心曲種で三声。自由なバス声部の上で、上2声が模倣しあうもの
 パッサカリアとシャコンヌの違い。変奏が積み重なるのは同様ですが、パッサカリアはそれがバッソ・オスティナートの上に重なるもので、シャコンヌはそれが定型和声上に重なるもの。

 そして、リヒターの54年ロンドン録音と比べての差。収録曲での差は、この5枚組に入ってない54年録音は、BWV639「主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ」とBWV.606「高き天よりわれは来たり」の、ふたつのコラール前奏曲。
 演奏の差は、どちらも完璧に感じてしまって僕には分りませんので、音の差を書くと、こちらの全集は3つの教会での録音があるようで、ライナーにはそれぞれのオルガンの仕様がペダルから何までみっちり書かれていました…これは僕みたいな素人にはぜんぜんわかりません(^^;)。で、ロンドン・レーベルの録音のものがハイが落ち着いて音像がしっかりしている(悪くいえば暗くて地味?)のに比べ、こちらはハイが派手なものが一部にあって(Disc1とか)、ステレオ感も強いかったです。これは人によって趣味が分かれそうと感じました。僕は前者の方がより好み、音像がしっかりしてなくてハイがきついと、なんかシンセで弾いてるようで、教会という空間を感じられないんですよね(^^)。でもそんなのは聴いて3分も立てば馴れてしまうので、そこまでこだわるもんじゃないかも。すべてがそうというわけではなく、Disc3 のトリオ・ソナタあたりは、54年録音に近く感じました。

 オルガンの練習用に書いたんじゃなかろうかなんてものもあったので、すべて良いと感じたわけじゃないんですが、特に良いと感じたものは「トッカータとフーガ」や「パッサカリアとフーガ」「前奏曲とフーガ」といった前半と後半で別曲をセットにしたもの。対比構造が構造美と劇性を増すのかも。

 チャーチ・オルガン自体がものすごいサウンドをした楽器でもあるので、BGM に音だけ聴いていても楽しめるかも知れませんが、やっぱり細部を追ってこそバロック音楽。ものすごい構造美に圧倒されました。「有名曲は聴いたし、要点は抑えただろうから、これ以上バッハのオルガン曲を追わなくてもいいや」と思っていた選外曲がここまで凄いとは、考えを改めないといけないかも。これは買って良かった、生涯聴き続けるCDになる気がします!



(追記)
 でもって、ロンドン・レーベル録音の『オルガン曲集』に入っていなかった曲の中で、僕が素晴らしいと思ったものは以下の通り。

・トッカータとフーガ ニ短調 BWV538(ドリア調)
 トッカータ部分の16分音符の主題が転調しながら何度も現れ、それがどちらでもない形で融合していくという構造美が素晴らしかった!この構成はカノン的ではあるけど、重ならずに出てくるのでやっぱり転調ですよね。でもそういう定義なんてどうでもいい、要するにこの構成力がすべてでしょう。また、トッカータ部分の激しさとは対照的な静謐な主題を持つフーガ部分も、やはり同じアーチを描くのもまた素晴らしかったです。いやあ、これは良い…。

・前奏曲とフーガ イ短調 BWV543
 バスがペダル、上声部は下降する音型を発展させてカオティックに突入していく前奏曲の前半部分が素晴らしかったです!

・前奏曲とフーガ ロ短調 BWV544
 目立つフックは感じなかったんですが、究極の構造美、そして聴感覚ではなく頭で捉えるはずの構造美に感動してしまうという…。

・前奏曲とフーガ ハ短調 BWV546
 前奏曲部分の、交互に出てくる派手な和音部分と細か静謐な対位法部分のコントラストが見事。そして劇的に終わった後にそっと始まるフーガ部分は、徐々に声部を増やし、次の主題で減り、また増えていき…ああ、もう素晴らしすぎる。

・パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582
 バッソ・オスティナートの上に3拍子の変奏が重なるパッサカリアは、この構造が既に劇的構成を作りもするし、基本的に同じバス主題が続くので構造を把握しやすくもあり、これは僕的には思いっきりツボ、メッチャかっこいい!!ところで、僕はパッサカリアとシャコンヌの違いがよく分かっていませんが、短調と長調の違い?勉強し直さないと…。

・カンツォーナ ニ短調 BWV588
 カンツォーナって何だっけ?と音楽辞典で調べると、シャンソンの鍵盤用編曲または模作とありました。このCDの解説には模倣進行部分とホモフォニー部分が続く形式とありました。あ~なるほど、シャンソンの形式がそうなんだから、形式で表現すればそうなるという事かな?声部が少なく落ち着いた雰囲気、しかし対位法が用いられて全体を通して下降進行していき、どこか荘厳。聴き入ってしまいました。。

・オルガン協奏曲第1番 BWV592 2楽章
 これは構造面よりも、短調でグラーヴェ、3拍子という曲想が好きです。

・オルガン協奏曲第2番 BWV593 2~3楽章
 2楽章は協奏曲1番2楽章と同様に、短調3拍子の緩徐楽章、これも静謐で心にしみるようでした…。3楽章はけっこう有名な曲で、昔なにかのCMでも使われていました。リトルネッロ(バロック時代の協奏曲で使われる主題で、変奏して使用される)が圧縮された分だけ、ソロが凄かったです!あとこれ、2重ペダルでした。オルガン奏者って凄いな、よくこんなの演奏できるよ…。

・パルティータ「ようこそ、慈悲あつきイエスよ」BWV768
 終盤のクライマックス感が凄い。

・6つのコラール集より「目覚めよ!とわれらに呼ばわる物見らの声」BWV645
 単純にあたたかみを感じる主題が好きです(^^)。ちなみにこの曲、BWV140の編曲なんだそうな。バッハは追求し始めたらきりがないですね、BWV140を追うのはやめとこう(^^;)。

・6つのコラール集より「目覚めよ!とわれらに呼ばわる物見らの声」BWV645
 あたたかく平和に満ちた音楽で、それだけでも感涙ものですが、メロとバスの対位法が見事。そこにメロに対するカウンターも加わり、シンプルだけど見事。

・18のコラール集より「装いせよ、わが魂よ」BWV654
 オスティナートの上にメロディが重なり始めた瞬間の快感がヤバかったです。それが終わるとまたオスティナートが聴こえて…この変わらずに延々と続くオスティナートが永遠を感じさせて、この世から去り行く人の恐怖を和らげる効果があるのだと感じました。永劫不変の世界に還るだけなのだ、みたいな。

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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