「ソースでトマト」は北陸の方言?沖縄の麦茶は甘い?
冷やしトマト(4)

大阪、京都、名古屋と回ってきた。暑かった。だから名古屋では地下街ばかり歩いていた。いろんな気になる物件が目についたので、あのデジカメで撮ってきた。

大阪では今、「キャベツ焼」が熱い。
JR天満駅前のこの店には長蛇の列。溶いた小麦粉を鉄板に流し、天かす、紅ショウガなどの調味素材を加え、刻みキャベツをどばっとのせて焼いたもの。半分に折って売っている。100円。
列に並んだが、どんどん焼いているのになかなかはけない。新幹線の時間が迫っていたため入手を断念した。店の人は「昔の一銭洋食のキャベツが多いやつ」と言っていたので、生地は多分醤油味なのだろう。


「鞍馬サンド」に行った。以前、日野さんから報告があった「カスタードクリーム納豆コーヒーゼリーサンド」の店。この物件を写真に撮ろうとラップを外したら、糸を引いた。本当に納豆入ってるぞー。ほかにもいろんなサンドを売っている。特にカステラには感動を禁じ得なかった。
名古屋駅新幹線ホーム待合室で売っていた「せきあん」。粒あんが入った赤飯。北海道産ではない。メーカーは愛知県瀬戸市。

名古屋を中心に展開している手羽先が売り物のチェーン店「風来坊」特製「ターザン焼き」。三越のデパ地下でも売っている。
「焼き」といいながら、鶏の胸肉からももまで一体で揚げたもので、甘辛のたれに誘われ予想に反して全部食べることができた。ほかの店ではもも肉だけを揚げて「チーター焼き」として出しているところもあるそうだ。

これも名古屋。
チャーシューがまるまる1本入ったラーメン。安い。でかい。お値打ち。でも、どうやって食べるのだろう。
さて、VOTE(投票)の速報値が出た。
「冷やしトマトに何をかけるか」ではだいたい「塩」と「何もかけない」が主流だが、ところどころ「おやっ」という数字がある。

例えば(ウスター)ソース。富山が36%でトップ。福井が27%でこれに続く。そして3位は何と石川(24%)なのである。つまり北陸3県が上位を独占。ということは「ソースでトマト」は北陸の食の方言なのだろうか。そうだとしたら私にとっては新発見。金沢に3年住んでいたが、全然記憶にない。でもこの数字は偶然ではないようだ。
マヨネーズが一番多かったのは広島(25%)。砂糖は山口(21%)で醤油は島根(40%)だった。

麦茶問題だが、砂糖を「入れない派」が圧倒的な中で「入れる派」が10%を超えた県が8県あった。沖縄25%、栃木17%、香川15%、富山14%、山梨13%、新潟12%、山形11%、静岡10%である。沖縄が有意に高い。
ではこれまでにいただいたメールを。





おお!そうじゃった。私は川に泳ぎに行くときに、ぷりっと硬いナスをもいでいって流れに放り込んでは泳いでそれを取りに行き、延々繰り返して飽きると川辺にあがって、ちょうどよい具合に冷えたナスをガブッとかじってました。とれたてのみずみずしいナスってうまいのですよ。じんわりとしたなんともいえん味です……魚沼の在には漬け物に持ってこいの、こぶりで美味いナスが今も沢山なっています。普通の人は魚沼の在のスーパーでナス漬けを買ってウチにもって帰らないで、すぐに袋をやぶって丸かじりしてね。時間がたつと味が大変化してまずくなるんです。くれぐれもすぐに食べて!(お名前ありません)

新潟の魚沼の在のスーパーの前で「買ったばかりのナスの漬物にかぶりつく普通の人たち」などという光景が見られるようになるといいですね。この「普通の人」というのは遠方から来た人のことですか?
おお!そうじゃった。ハチミツトマトって意外にポピュラーなのかもしれません。わさび醤油トマトは希少種でしょうね。でも本人にとっておいしいのなら、どんな食べ方したっていいんです。私はしませんけど。YARUさんが食べておられたみそ汁の具、ちょっと注目です。
外国にお住まいの皆さんからのメール。本題とは外れるが。


コソコソなんかする必要はありません。夫の前で堂々とやってください。日本では関西の人が天ぷらにソースをドバドバかけて胸張って食べてますよ。私だってイワシの天ぷらはソースがいい。チャンポンにもソースです。
名古屋にはチャーシュー1本ラーメンだってあるんです。広島にはあんみつコーヒーがあります。新潟のイタリアンは中華麺なんですよ。何の話かわからなくなってしまいましたが、とにかく堂々と「醤油でフライ」をやってください。三林京子さんの「ああ書けば、こう食う」の「ソースでてんぷら」の項を読んでみて下さい。ファイトがわきますよ。

私でよければ何でも認証させていただきます。では認証いたします。「認証 渡鍋さんこそコーラビの浅漬けの発明者であるかもしれません。以上」。コーラビを探せということですが、どこに行ったら手に入るんでしょうか。
コーラ瓶なら何とかなりそうですが。
本題に戻る。麦茶問題。

まったく本題と関係ありませんが、鹿島アントラーズのクラブハウスのカフェテリア(といっていいのか)の「鹿ガーデン」には「本山スペシャル」なる飲み物があります。これは本山選手考案のオリジナルドリンクだそうで、第1弾から第4弾まであります。第1弾はメロンソーダ+ペプシコーラ、第3弾は確かオレンジジュース+ジンジャーエールでした。(第2弾と第4弾は忘れてしまいました)。先日第1弾を飲んでみましたが、おいしいようなそうでないような微妙な味でした(ヤナギロールさん)


カルピスでも塩でも好きに飲んでください。それでええんです。沖縄のドライブインの光景は興味深いですね。VOTEで沖縄が有意な数字を出した背景がうかがえるようです。でも .344という数字はどうやって計算したんですか。
お叱りのメールをいくつかいただいている。

ちなみに別に調べたところ、冷し中華の誕生は昭和12年仙台の龍亭という中華料理屋で、主人の四倉義雄という方が「夏は熱い中華料理では客足が落ちるので、なんとかならないか」と苦心してつくり上げたそうです。戦中、戦後の混乱期はメニューから消え、昭和24年に仙台の中華料理組合が大々的に復活を宣伝し、社会復帰を果たした由。更に数年かけて仙台から東京に伝播したのでしょう。また「どこでも冷しそばでした」というのは恐らくラーメン屋での話で、そば屋では「冷し中華」または「冷し中華そば」だったろうと思います(亀有 まついのもさん)

同じ趣旨のメールを横浜の江分利万作さん、山形の佐藤さんからもいただきました。全冷中は知っておりました。学生運動の影響もあったのでしょうが、昭和45年ごろからとってもヘンな名前の団体が続々できていました。中には「全日本軟便同盟(全軟同)」(だったかな?)のような団体もあって、その流れで全冷中を「へー」と思いつつ記憶していた次第です。前回あのメールを紹介したのは「東京のラーメン店では冷やしそばと呼んでいた。スープに入った冷やしラーメンが早い時期に東京に入ってきていたが不人気で消えた」というところに興味をそそられたからで、実は「15年ほど前」にはあんまり注意を払っていなかったのです。ごめんなさい。

でも、誰にも勘違いや思い違いはあるものですし、文章にするときに書き誤るということもありますので、そういうことにしていただければありがたく思います。
それと冷やし中華の起源ですが、昭和4年に出た「料理相談」という本に「冷蕎麦(ひやしそば)」の一項があって、ゆでたシナそばに酢、砂糖、氷をまぶす。具材はチャーシュー、キュウリ、酢漬けラッキョ、タケノコをのせる。冷スープ・醤油・酢・コショウをかけるとあります。仙台の龍亭以前にすでに原型があったことをうかがわせる記述なので、私は発祥の店は断定しにくいのではないかと思っています。

ジョークがうまく伝わらなくてすいません。エミー隊員は言っておりました。「せ」は「せうゆ」ですと。
そのほかのメール。

九州でも冷やしものはあまりありません。沖縄と似たような事情からでしょうか。

「冷やどん」は冷やした丼鉢です。「冷麦どん」はご飯の上に冷や麦がのったものです。今度行ったら本当はどんな物件なのか聞いてみてください。
中華麺を使った「イタリアン」で注目を集めている新潟からまた新しい情報が入った。今度は「ポッポ焼き」。



知りませんでした。ポッポ焼き、蒸気パン。どちらも懐かしい響きですね。何か汽車と関係があるのでしょうか。相当、歴史のある物件のような印象です。新潟には「中華なのにイタリアン」を食べに行こうと思っていますが、足を延ばして下越でこの物件と遭遇したいですね。私は子供のころ黒砂糖を塗りたくった「黒棒」というお菓子を食べていましたし、東京にはかなり似た「麩菓子」というのもあります。これもどこかで血がつながっていたりするかもしれません。

さて、次のテーマは「メロンパンとサンライズ」。この写真の物件をなんと呼ぶか。あんこは入っているか。新製品がどんどん出ているので「自分が正統と思っている物件は」という前提で考えてほしい。一部で「関東はメロンパン、関西はサンライズ」という説が唱えられている。本当だろうか。あんこが入るか入らないかでも地域差があるという人もいる。本当だろうか。そのあたりを調べるのが次回の目的である。私は甘いパンは食べないので、正直に言ってほとんど知識がない。皆さんのメールだけが頼りである。そこんとこよろしく。
(特別編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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