京都先端科学大と東大、人間活動による温暖化が台風豪雨の頻度に影響していることを解析
【プレスリリース】発表日:2022年04月29日
人間活動による温暖化が、台風豪雨の頻度に影響
〜東アジアにおける台風豪雨の増加傾向への寄与を証明〜
1.発表者:
内海 信幸(京都先端科学大学 ナガモリアクチュエータ研究所 助教)
金 炯俊(東京大学 生産技術研究所 特任准教授/韓国科学技術院 准教授)
2.発表のポイント:
◆過去約50年間の観測データから、台風由来の豪雨の頻度が、中国南東部の沿岸域から日本にかけては増加し、より南の地域では減少していることが分かった。
◆気候モデルによるシミュレーションデータと併せて解析した結果、人間活動による温暖化の影響が、台風の豪雨の変化として既に顕在化していることが示唆された。
◆人間活動による温暖化が極端な気象現象に与える影響を理解し、適切な気候変動対策を進めるための重要な手がかりとなると期待される。
3.発表概要:
台風(熱帯低気圧:(注1))によってもたらされる豪雨は、洪水や土砂災害を引き起こし、人間社会に大きな脅威となります。また、地域の生態系にも影響を与えます。これまで、台風由来の豪雨の頻度が過去数十年で変化してきたことが、世界各地で報告されてきました。しかし、台風の活動は偶然性や気候システムの自然変動にも影響されるため、人間活動による温暖化がどの程度、台風由来の豪雨頻度に影響を与えているのかは分かっていませんでした。
京都先端科学大学の内海 信幸 助教と東京大学 生産技術研究所の金 炯俊 特任准教授は、日本を含む北西太平洋における台風由来の豪雨の頻度を、過去およそ50年間の観測データから確認しました。その結果、中国南東部の沿岸域から日本にかけては豪雨の頻度は増加し、より南の地域では減少したことが示されました。さらに、気候モデルによるシミュレーションデータ(注2)と併せて解析したところ、その変化には人間活動に由来する温暖化が影響していることが分かりました。
今回の研究は、人間活動による温暖化の影響が台風の豪雨の変化として既に顕在化していることを示したものです。費用と効果のバランスをとった気候変動対策を考えるためには、気候変動の影響を適切に評価することが重要です。本研究は、気候変動の影響を理解するうえで重要な手がかりとなると期待されます。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/631542/01_202204281436.pdf