上村淳之さんが死去 温かみある花鳥画で文化勲章、91歳
花鳥画の名手として知られる日本画家の上村淳之(うえむら・あつし、本名=淳=あつし)さんが11月1日、老衰のため奈良市の自宅で死去した。91歳だった。告別式は近親者で行った。喪主は次男、隆司氏。

祖母は美人画の大家の上村松園、父は緻密な鳥や花の絵で知られる上村松篁で、いずれも文化勲章受章者。東洋の美意識に基づいた繊細で温かみのある花鳥画を得意とし、代表作に水辺のシギの姿を描いた「晨(あした)Ⅰ・Ⅱ」(1978年)などがある。
絵のモチーフとなる鳥類の観察眼を磨くため、奈良市内の自宅兼アトリエでは数千羽の鳥類を飼育した。野鳥保護を目的とする公益財団法人の研究所にも指定されるほどだった。
84年に京都市立芸術大学の教授となり、長年、後進の指導にあたった。2002年に日本芸術院会員、22年に文化勲章。上村家3代の作品を収集・展示する松伯美術館(奈良市)の館長も務めた。