JR東日本など、磁気切符をQRコードに移行 コスト削減

JR東日本など鉄道8社は29日、QRコードを使用した普通乗車券を2026年度末以降に導入すると発表した。各社共通の管理システムを取り入れ、1枚の切符で異なる路線を乗り換えられるようにする。これまでの磁気乗車券から順次置き換える。切符が詰まるなどの改札機の故障リスクを減らす狙いもある。
現在は訪日外国人を含む乗客の5〜10%が紙の切符を使っている。磁気乗車券は用紙に金属成分を含み、リサイクルに手間がかかるなど一定の環境負荷があった。QRコード付き乗車券への移行に伴い、改札機や券売機の維持・管理コストが抑えられる。
JR東は20年に東京・新宿駅などの一部改札でQRコードに対応した改札機の実証実験を展開した。24年度下期には切符予約サービス「えきねっと」でチケットを購入し、スマートフォンに表示したQRコードで通過できる改札機を導入。東北エリアで運用を始め、新幹線・在来線の全線に拡大する。交通系ICカードを持たない乗客でもチケットレスで通過できる手段として実用化する。
JR東と共用できるQRコード付き乗車券は西武鉄道や東武鉄道、京浜急行電鉄に加え、京成電鉄、新京成電鉄、北総鉄道、東京モノレールも導入する。これまで通り利用者は駅の券売機でQRコード付きの切符を買って乗車する。改札を通過する処理速度は、従来の磁気乗車券と同程度を維持できるようにする。
今回QRコード付き乗車券への置き換えを発表した8社に東急電鉄や東京地下鉄(東京メトロ)などは含まれていない。東急は既に自社路線の定額乗り放題チケットなどでQRコードやクレジットカードによる乗車サービスを実施している。東京メトロはQRコードなどに対応した乗車の実証実験を継続している。小田急電鉄も導入を検討しているという。
鉄道関係者は「沿線に観光地が多く磁気乗車券の利用率が高い鉄道会社ではQRコードへの置き換えが積極的に進むのではないか」と話す。