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南海電鉄、クレジットカードで鉄道乗降 コスト削減に

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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

利用者が「Suica(スイカ)」など交通系ICカードの機能を持たないクレジットカードで電車を乗降できる取り組みが進んでいる。南海電気鉄道ではフェリーと併用すると、一部区間の電車の運賃を無料にするほか、西日本鉄道などの鉄道事業者でも実証実験が始まる。訪日外国人らの利便性を高めるだけでなく、切符の発券や対応する改札機を減らし、鉄道会社のコスト削減にもつながる。

南海電鉄はグループ会社の南海フェリー(和歌山市)などと共同で、「Visa(ビザ)」のクレカのタッチ決済により、電車とフェリーを乗り継ぎできる実証実験を12月まで実施する。交通系ICのように、専用の改札機にクレカをかざすだけで料金を支払うことができる。南海電鉄の20程度の駅と和歌山港ー徳島港のフェリーが対象となる。

クレカの強みの1つが柔軟に運賃の割引ができる点だ。改札機にかざした瞬間に料金を支払う交通系ICと異なり、クレカでは最終的な決済金額は電車を使った翌日に決まる。このため、電車からフェリーに乗り継いだ利用者に限り、電車の運賃を割り引くことが可能だ。今回の実証では電車からフェリーに乗り継いだ場合、実験の対象区間の電車運賃が無料になる。

クレカでは利用者の電車の乗降の情報を改札機と通信接続されたクラウドで管理しているため、柔軟な割引が可能となる。クレカを使えば日付や時間に応じて電車の運賃を変えることもできる。

交通系ICが普及してきたとはいえ、南海電鉄では現在も約2割の電車利用に切符が使われる。切符の発行にはコストがかかる上、切符対応の改札機も、導入や保守点検の費用がIC専用の改札機よりもかかる。藤原隆行・統括部課長補佐は「クレカのタッチ決済を将来、切符をなくしていくための施策の1つにしたい」と話す。デジタルトランスフォーメーション(DX)によって、現場の負担軽減につなげたい考えだ。

実証に使えるビザのタッチ決済の機能がついたクレカは国内で約7000万枚で、海外のクレカにも多く搭載されている。訪日外国人の受け入れが進みつつある中、交通系ICを持たない人が国内で手軽に電車に乗る手段となる。

クレカを電車の乗降に使う取り組みは広がっている。交通系決済システムのクアドラック(東京・港)によると、6月中旬時点で11社が実証実験などで導入している。

西日本鉄道は7月15日から、ビザのタッチ決済を西鉄電車に導入する実証実験を始める。5駅が対象で、2023年3月末まで実施する。福岡市交通局は5月末から地下鉄で実験をしていて、7駅で乗り降りする場合に利用できる。一部の駅には交通系ICとクレカのタッチ決済で一体型の自動改札機を設置する。

世界でもクレカなどのタッチ決済による鉄道の乗降が進む。三井住友カードによると、上海や北京、ロンドン、ニューヨーク、パリなどの世界500以上の公共交通機関で導入されている。

(大越優樹)

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