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既にバブル相場2年目? 「自力1億円」目指し歴史に学ぶ

新NISAで老後資金1億円(5)

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公的年金と合わせれば、自己資金が3000万円でも「老後資金1億円」は確保できる。とはいえ、年金などの制度に頼らず、自力で1億円をつくるのは多くの個人投資家の夢だ。大化け株を引き当てるために「相場の歴史」に学んでいこう。

自力1億円の達成には、株式の平均的なリターンである年率約7%では足りない。個別株、それも何倍もの大化けが期待できる銘柄を狙うべきだろう。

とはいえ、短期間で大化けする銘柄を当てるのは非現実的だし、1銘柄では足りない。数十年の超長期で個別株投資と向き合い、人生で複数回の大化け株に巡り合うことが、自力1億円への現実的なルートの一つとなる。

10年単位で個別株投資と向き合うために、強力な武器となり得るのが「歴史の教訓」だ。超長期の投資では、幾度となく相場の激しいアップダウンや景気変動、「〇〇ショック」などの事件に直面することは避けられない。そんな重要局面で行動を誤らないように、数十年以上マーケットを見続けてきたベテランたちに、「知っておくべき歴史の教訓」を聞いた。

超長期保有向けの銘柄はROEで選ぶ

山和証券で長くディーラーとして活躍した志田憲太郎さんは、「超長期保有で大きな利益を狙いやすいのは、ROE(自己資本利益率)が高く、かつ赤字の期がない銘柄だ」と助言する。こうした銘柄の業績は、成長率という意味では地味にも見えるが、実は想像以上のペースで株主資本が増えていく。

「日々の株価変動に左右されず企業価値を示す指標がROEだ。ROE15%が一貫して続けば株主資本は5年で2倍、10年で4倍になり、株価もそれに比例した伸びが期待できる」。高確率で「大化け」を引き当てる有効な手段というわけだ。ただ、「時々赤字の期があると複利効果が薄れるので、『不況期も赤字にならない高ROE』が狙い目だ」

また、投資では銘柄選びだけでなく、買い時や売り時、相場の「周期」を見極めるべきだと説くベテランも多い。40年のキャリアを持つ証券ジャパンの大谷正之さんが重要と考えるのは在庫循環だ。

「株式相場には様々な周期の『景気の波』があるが、製造業の在庫循環に起因する、約3年周期のサイクルは売買タイミングの参考にしやすい」と語る。在庫循環が底を打つタイミングではより投資に強気で臨んでよく、逆に天井を打つタイミングではよりリスクへの意識を強めた方がいい。PMI(購買担当者景気指数)などの指標で景況感は測れるという。

40年のキャリアを持つ株式アナリストの鈴木一之さんは「世の中が悪い時こそ株式の買い時だ」と力説する。「明らかに景況感が悪かったり、人類が難題を抱えていたりする時期は、誰もが恐怖を感じ、相場から去りたくなる。しかし、『恐怖を感じる時こそ買い時だ』という知識を持っておけば買い向かうことができ、大きな利益を狙える。ここから世界景気減速や、中東の戦火の拡大などがあれば、そんな局面が訪れる可能性もある」

「老舗の変革」は大相場の種

買いにふさわしいタイミングとして大谷さんが重視するのは「旧態依然だった企業が変わる時」だ。芝浦メカトロニクスは2005年頃に高値を付けてから低迷し続けていたが、液晶製造装置から半導体製造装置へと巧みに業態転換を果たし、18期ぶりに最高益を更新。23年にかけて大相場を演じた。

「最近の三菱重工業もそうだが、歴史の長い企業は時代から取り残されたように見えても、経験や技術力の蓄積があり、一度変わり始めれば大きく化けることが多い」(大谷さん)。同じような発想で現在は、アルミニウムメーカーの日本軽金属ホールディングスに注目しているという。「様々な製品の軽量化に向いたアルミは、今後伸びる新分野でも活躍できる潜在力が高い」(同)

複数の大ベテランが指摘したのは、「今の日本株市場は、過去のバブル相場と似ている」という点。50年以上相場を見てきたケイ・アセットの平野憲一さんは「国内にお金が余り、企業業績が良く、人々の給与が上がるという3条件を満たすと日本株は大きく上がりやすい」と指摘する。

「マネーストック残高は過去最高水準で、円安で企業業績は好調。来春にかけて賃上げに勢いがつけば期待できる」(平野さん)

崩壊に備えながらバブルに乗る

60年のキャリアを持つ株式評論家の植木靖男さんは「1878年に日本で株式市場が誕生して以来、なぜか36年ごとの『五黄の寅年』にバブル相場が始まるのが日本のジンクスだが、今回も2022年から始まったようだ」として、25年にかけてバブル相場が本格化すると予測する。であれば既にバブル相場も2年目ということになる。

「バブル前夜にはむしろ経済が苦境だったという共通項があるが、今回の前夜は新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻だった」

今後について植木さんは「バブルは途中で小休止を挟み、物色対象を替えて再開することが多い。10月までの下げ相場を経て、今後は23年前半とは違う銘柄が買われる」と読む。一方で、「バブルは例外なく3年程度ではじける。起きたとしても終わりの時期を最初から想定すべし」とも語る。

(臼田正彦)

[日経マネー2024年1月号の記事を再構成]

日経マネー 2024年1月号 新NISAで誰でも手が届く 老後資金1億円
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2023/11/21)
価格 : 900円(税込み)
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