個人投資家、約9割が新NISA利用 1万2000人を調査
日経マネー個人投資家調査2024(1)

①新NISAがついにスタート これを機に投資を始めた人も

2024年1月から新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まった。「個人投資家調査2024」の回答者のうち、約9割の人が新NISAを活用していた。特に開始直後に成長投資枠の限度額いっぱいに投資した人は、年始からの上昇相場で大きな利益を得ているようだ。ただ、「新NISAで浮足立って買った株が全て含み損」(51歳・女性)と既に悩みを抱える人も散見された。
一方、新NISAが呼び水となって新たに株式投資を始めたという人も多いようだ。回答者の中でも投資歴が6カ月未満の人の割合が12%と、昨年より約3ポイント増加した。
②日経平均株価が初の4万円を突破
3月4日、日経平均株価が史上初めて4万円を突破した。相場をけん引した主役の一つが半導体株だ。日経半導体株指数は23年頭から24年6月までに2倍超になった。「23年以降半導体株に重点的に投資してきたため、値上がり益を享受できた」(80歳以上・男性)など、事前に目を付けていた人からは喜びの声が多く届いた。
ただ、日本株の急騰に付いて行けなかった人もいたようだ。「傍観していて買いの時機を逃がした」(68歳・女性)や「利益確定が遅れた」(53歳・男性)と嘆く声も聞こえてきた。
③高配当株と安定成長株に熱視線
今年の個人投資家調査では「配当利回り」と「成長性」を銘柄選びの基準として挙げる人が抜きんでて多かった。さらに年始から大型株を中心に株価が急騰したことが影響しているのか、「成長性」を重視する人の中でも大半は業績が安定成長を続ける日本の大型株に投資していることが分かった。

④歴史的な円安は継続
23年は円安が継続した1年でもあった。ドル・円の為替レートは同年秋、約1年ぶりに1ドル=150円台に乗った。投資家にとっては明暗分かれる結果になったようだ。円安を予想して輸出中心の企業の株に投資して儲けた人が多くいた一方、円高を予想して「ドル建ての債券を早く売ってしまった」(63歳・男性)という人も。

⑤株主還元期待で割安株に焦点
23年の特に前半は割安株に焦点が当たった。理由の1つ目が同年3月に東証がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に改善策を開示・実行するように要請したこと。対象の企業に対して株主還元強化の期待が高まった。もう一つが投資の神様ともいわれる米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が日本株は割安だとして投資意欲を見せたことだ。これらを背景に急騰した割安株も多かった。

個人投資家調査2024の結果から見えてきた、より詳細な個人投資家の実像や体験談の詳細については、日経マネー8月号で詳しく紹介している。
個人投資家調査2024には1万2000人超が回答
『日経マネー』が毎年実施しているインターネット調査。個人投資家の運用成績を中心に、投資スタイルや投資対象銘柄などを調べている。2024年は18回目で、期間は4月11日〜5月6日(集計は日経BPコンサルティング)。有効回答数は1万2175だった。告知は日経BP、日本経済新聞社、協力金融機関、著名個人投資家のサイト・メルマガ・ブログ・SNSなどで実施した。下記は回答結果の一部を世代別などで分析したものだ。それぞれ有効回答を編集部が集計した。






(田中創太)
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2024/6/21)
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