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福島第1原発のデブリ取り出し、準備作業を中断 東電

(更新)
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東京電力ホールディングスは22日に始まった福島第1原子力発電所2号機の溶融燃料(デブリ)試験的取り出しの準備作業を中断した。装置の取り付け順序に誤りがあった。同日中の作業再開は見送り、23日以降の対応を今後検討する。

東電によると、取り出し装置を押し込むパイプの取り付け順序に誤りがあった。

格納容器は極めて高い放射線量となっており、原子炉につながる貫通部の手前に放射性物質を遮断する隔離弁を設置している。装置が隔離弁を通過した時点で「デブリの試験的取り出し着手」と定義しており、22日中の着手には至らなかった。

作業は長さ1.5メートルの押し込みパイプを5本つなげ、釣りざお式装置のパイプ部分を原子炉に入れ込む計画だった。押し込みパイプの1本目を使う時点で、作業員が装置の順序の誤りに気づき作業を中断した。

東電の小早川智明社長は同日、新潟県柏崎市で記者団の取材に応じ「安全や着実性がより求められる状況だ。何か気がかりなことがあれば立ち止まるよう私からも指示していた」と述べ、原因究明を急ぐ考えを示した。自身が23日にも福島第1原発を訪れるという。

東電は2週間ほどかけて3グラム以下の少量のデブリを取り出す計画を示していた。釣りざお式の装置が格納容器底部のデブリに到達するまでに1週間、デブリをつかんで回収するまでに1週間かかる見通しで、計2週間ほどを要すると見込んでいた。

試験的取り出しは2011年の原発事故で水素爆発を免れた2号機で行われている。格納容器の内部調査が比較的進んでいることを踏まえて判断した。

デブリの取り出しは廃炉作業の本丸とされる。当初は21年内に開始する予定だった。機材の開発の遅れや原子炉内部につながる貫通部をふさぐ堆積物などの影響で3度の延期となり、ようやく計画が動き出した矢先だった。

地元では原発事故で住民が避難を余儀なくされたが、少しずつ帰還が進んでいる。地元自治体からはデブリの試験的取り出しを巡っても、住民に悪影響を与えることがないように望む声が強い。東電は安全確保を最優先に作業を進めると説明する。

1〜3号機ではデブリがおよそ880トンあると推計されている。東電は51年までの廃炉完了を目指すが、デブリの取り出しや処分の方法は決まっておらず廃炉の具体的な絵姿は今なお描けていない。

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