マイナ、26年にも新型カードへ移行 偽造防止を高度に
券面情報の絞り込みも

政府は6日、2026年にも新しい様式のマイナンバーカードを導入する方針を決めた。搭載するICチップの暗号技術をより高度にして本人認証のなりすましやカードの偽造への対策を強める。プライバシーに配慮し住所や性別といった券面の記載情報の絞り込みを検討する。
6日に首相官邸でデジタル社会推進会議を開き、23年度版「デジタル社会の実現に向けた重点計画」案を決定した。カードの機能拡充や安全性向上に向けた施策を盛り込んだ。
岸田文雄首相は「国民が安心してデジタル社会のメリットを享受できるよう重点計画の施策を着実に実行してほしい」と河野太郎デジタル相ら関係閣僚に指示を出した。

マイナカードは16年に交付を開始し、期限はおよそ10年に定める。初期に持ち始めた人が更新を迎えるのに合わせてカードの仕様を変える。将来、量子技術を使った暗号解読が可能になるとの予測も踏まえてセキュリティーを強める。
新カードを検討するタスクフォースを近く立ち上げる。マイナンバー法などの改正が必要な場合は24年の通常国会に改正法案を提出する。
マイナンバーを巡り誤登録といったトラブルが相次いで判明している。重点計画案は「信頼確保に向け、効果的な情報共有や対策の調整を行う」と表記した。
オンラインでの銀行口座の開設や携帯電話の契約の際、本人確認の手段をマイナカードに一本化する方針も記した。運転免許証や顔写真のない書類での確認は「廃止する」と明記した。対面契約でもマイナカードを使えば本人確認書類のコピーは取らないようにする。
成人のカード更新手続きをオンラインで完結する仕組みを検討する。現在は本人確認のために自治体の窓口などで受け取る必要がある。
マイナカードを乳幼児への医療費助成の受給者証や外国人の在留カードとして使えるようにするための工程表も入れた。介護や就職支援、大学などでの利用機会も広げる。

マイナンバーカードとは
自治体に申請すれば無料で交付されるカード。2016年に始まったマイナンバー制度にあわせて本人を認証するために導入した。マイナンバーは日本で住民票を持つ人全員に割り振られる12桁の番号で、社会保障や税の分野で関係機関同士がやりとりする際に個人を特定するために使う。政府は普及のためにマイナポイントの配布やマイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」への一本化を進めている。