G7、ロシア凍結資産活用 ウクライナ支援7.8兆円

【ファサーノ(イタリア南部)=大西康平】主要7カ国首脳会議(G7サミット)が13日、イタリア南部プーリア州で開幕した。15日までの日程で首脳宣言を取りまとめる。ロシアの凍結資産を活用したウクライナ支援の枠組みで合意する見通しだ。
13日はアフリカの開発支援や気候変動、中東情勢などを討議した。ウクライナ支援の議論には同国のゼレンスキー大統領も参加した。
米国や英国が拠出する基金を設け、ロシア凍結資産の運用収益を返済に充てる方向だ。米政府高官は13日、米国として最大500億ドル(約7兆8000億円)を貸し付ける用意があると表明した。キャメロン英外相も同日、G7で500億ドル規模の支援をしたいと述べた。
米高官によると、G7首脳はロシアが損害賠償を支払わない限りは資産凍結を続ける方針で合意した。「和平合意があれば資産を凍結したまま利息で返済するか、ロシアが与えた損害賠償を支払うことになる。いずれにしても返済原資はある」と述べた。
岸田文雄首相はウクライナ情勢に関する会合で、ロシア制裁をめぐり迂回先となる第三国の団体を含め新たな制裁パッケージを検討していると表明した。中国やインド、アラブ首長国連邦(UAE)などの団体が対象になる見通しだ。

イスラエルとイスラム組織ハマスが衝突する中東情勢では、恒久的な停戦や人道支援拡充への道筋を協議する。イスラエルの後ろ盾となる米国と欧州主要国の立場の違いも出ている。
欧州に流入する移民への対処やアフリカの開発支援もテーマとなる。欧州議会選では反移民を掲げる極右政党が各国で勢力を伸ばした。フランスのマクロン大統領が下院の解散を発表するなど国際情勢を不安定にする要因となっている。
日本の関心が高いインド太平洋・経済安全保障の議題では、中国の多額の政府補助金を通じた過剰生産問題について懸念を表明する方向だ。台湾海峡の平和と安定の重要性も再確認する。
人工知能(AI)を巡ってはローマ教皇が倫理問題に関して発言する予定だ。2023年のG7サミットで議長国を務めた日本は生成AIの国際的なルールを作る「広島AIプロセス」を立ち上げた。AIが雇用に与える影響などについても議論を深める。
G7サミット(主要7カ国首脳会議)の議題や各国首脳の動きなど最新ニュースをまとめました。