バフェット氏投資会社、時価総額「1兆ドルクラブ」入り

【ニューヨーク=斉藤雄太】28日の米株式市場で著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイの株価が上昇し、時価総額が一時1兆ドル(約144兆円)の大台を突破した。アップルやマイクロソフトなどのテック大手以外では米企業で最初の「1兆ドルクラブ」入りとなった。
バークシャーの株価は28日午前に前日比1%強上昇する場面があった。昨年末からの株価上昇率はおよそ3割に達し、代表的な株価指数のS&P500種株価指数(17%)を上回る。米景気の先行き不安が増すなか、長年にわたって高い運用成績を積み重ねてきたバフェット氏への信頼感を映している。

米調査会社CFRAリサーチでバークシャーを担当するキャシー・セイファート氏は「時価総額1兆ドルの達成は同社の財務の強さとフランチャイズの価値の高さを証明している」と述べた。
バークシャーは機動的に保有株を入れ替えている。3日に公表した4〜6月期の四半期報告書によると、6月末のアップル株の保有時価は842億ドルで3月末時点から38%減った。3四半期連続の減少となった。最近は米銀大手バンク・オブ・アメリカの株式も段階的に保有を減らしている。
一方、4〜6月期には化粧品小売りチェーンのアルタ・ビューティー株に初めて投資したことが明らかになっている。
現金などに米短期債の保有額を合わせた広義の手元資金は6月末時点で2769億ドル抱える。3月末と比べて5割近い急増になった。バフェット氏は5月のバークシャーの株主総会で「資金を(新規投資に)振り向けたいが、低リスクで大きな投資収益が見込める企業でなければ投資することはない」と語った。
足元の米株相場は景気減速下でも米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待を支えに最高値圏で推移する。バフェット氏は今後の相場の調整局面も見据え、新たな投資に動く機会をうかがっている。
バフェット氏は1965年にバークシャーの経営権を握り、保険や鉄道など多様な企業群を傘下に収める一大コングロマリット(複合企業)に育ててきた。同氏は30日に94歳の誕生日を迎える。時価総額1兆ドルの巨大企業をどう後継者に引き継ぐかも関心の的になっている。

著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイの投資動向や解説、同氏に学ぶ投資術に関する記事をまとめました。
ウォーレン・バフェット氏(Warren Buffett) 1930年、米中西部ネブラスカ州のオマハに生まれる。6歳からガムを売り歩き、11歳で株式投資を始めた。「割安株投資の父」ベンジャミン・グレアム氏に感化されて投資家の道を志す。1965年に繊維会社だったバークシャー・ハザウェイの経営権を握り、同社を母体に投資や事業投資を展開して財を築いた。優良銘柄を本質的価値より低い価格で買う投資スタイルで知られ、「オマハの賢人」との異名を持つ。大富豪ながら質素な生活で知られ、コーラとハンバーガーを好む。