Google親会社、サイバー新興3.6兆円買収へ協議 米報道

【シリコンバレー=清水孝輔】米グーグル親会社のアルファベットが、サイバーセキュリティーを手掛ける米新興のWiz(ウィズ)の買収に向けて協議していることが14日分かった。複数の米欧メディアが報じた。買収額は約230億ドル(約3兆6000億円)と実現すれば同社にとって過去最大のM&A(合併・買収)となる見通しだという。
ウィズは2020年に創業し、クラウド向けにサイバーセキュリティー関連のソフトウエアを提供してきた。5月には米ベンチャーキャピタル(VC)大手などから120億ドルの評価額で新たに10億ドルを調達したと発表した。
ウィズは米ニューヨークに本社を構える。米国の複数の都市やイスラエルのテルアビブにも拠点を置いている。創業者らは同社の前にもクラウド分野のセキュリティー企業を自ら立ち上げ、15年に米マイクロソフトへ売却した実績がある。
グーグルは米司法省などとの間で同社が反トラスト法に違反したかを争う訴訟が続いている。同社を含めた巨大テクノロジー企業には米連邦取引委員会(FTC)や欧州連合(EU)も監視を強めている。この時期に巨額の買収を決めれば規制当局との対立が深まる可能性もある。
グーグルは12年にモトローラ・モビリティを125億ドルで買収した。グーグルはその後、モトローラを中国パソコンメーカーのレノボ・グループへ売却したものの、ウィズの買収が実現すればこの例を上回る。同社の親会社としても過去最大のM&Aとなる可能性がある。グーグルはセキュリティー分野では22年に大手の米マンディアントを約54億ドルで買収している。
ウィズはグーグルに加えて米アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトなどクラウド大手と連携してサービスを提供してきた。グーグルは両社に比べるとクラウド事業で出遅れており、今回の買収を通じてセキュリティー分野で追い上げる狙いがあるとみられる。
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