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[社説]国産肥料で食料安保を確かに

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日本の食料安全保障にとって、前向きな動きだと評価したい。輸入に大半を頼る肥料の国産化に向けた自治体の取り組みが始まった。原料として活用するのは肥料の成分を豊富に含む下水だ。

ウクライナ戦争で肥料価格が高騰し、農業経営は圧迫された。肥料の調達が難しくなれば、国民への食料の供給がおぼつかなくなる。こうした危機感から改正食料・農業・農村基本法で肥料の国内生産を進める方針を打ち出した。

注目を集めているのがリンだ。肥料の主な成分で、現在は中国から多くを輸入している。下水汚泥に含まれているにもかかわらず、焼却処分することが多かった。

基本法の改正に先立ち、自治体が下水の活用を試みた。埼玉県は下水汚泥を燃やした灰を肥料登録した。これに先行して神戸市は、ウクライナ戦争を機に農家に利用を促し始めた。東京都も下水処理場の専用設備で実証事業をスタートさせた。

課題もある。一つは肥料としての効果を確かめることだ。リンを一定量含んでいるのを確認したうえで他の必要な成分も加え、栽培試験を重ねる必要がある。

水銀など下水に含まれるケースのある有害物質を除去することも重要になる。安心して使えるようにするための当然の措置だ。

地域間でノウハウを共有するのも大切だろう。自治体や農業界、肥料メーカー、研究機関などが連携し、取り組みを全国に広げるよう期待したい。国はそれを後押しする責務がある。

国内で生産できる肥料には、家畜の排せつ物などが原料の堆肥もある。政府は下水汚泥の活用や堆肥を増やすことで、国内の原料を利用したリン成分の割合を2021年の25%から30年に40%にする目標を掲げている。

実現すれば農産物の安定した生産に結びつく。小麦などの穀物や飼料の輸入への依存など、日本は食料安保で様々な課題を抱える。肥料の確保もその一つであり、着実に目標を達成してほしい。

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