一生健康で生きがいのある会社とは?
リゾートトラスト・伏見有貴社長(7月29日)
理想の「働き方」「働きがい」について読者の皆さんはどう考えるでしょうか。多様な価値観の中で、十人十色の姿があるはずです。新型コロナウイルス禍を経て私たちは、いろいろな「働き方」を模索し、それが「働きがい」にもつながるような取り組みをしてきました。働く風景はコロナ前に比べて大きく変わり、進化したはずです。理想の「働き方」「働きがい」があって長く働ける会社とはどんな会社なのか、考えていただきたいのです。
リゾートトラストは会員制リゾートホテルの運営を軸に、メディカル事業、シニアライフ事業、ゴルフ事業などを手掛け、どれも接客・おもてなしの技を磨き上げ、お客様にご満足いただけることを心がけています。会員制なので、お客様とはとても長いお付き合いになり、グループアイデンティティーの「ご一緒します、いい人生 〜より豊かで、しあわせな時間(とき)を創造します〜」は、そのありたい姿を表現したものです。
スタッフが寄り添うことで、お客様が求めている「潜在的ニーズ」に応えることができます。長いお付き合いだからこそイノベーションを起こし、お客様との結びつきが他に無い価値をつくり上げる非常に固いマーケティングモデルが会員制ビジネスです。
職種も多く、働き方は多彩です。当然、スタッフの満足度が上がらないと、お客様へも満足のいくサービスはできません。そのため私は5、6年前から全国にあるホテルなどの施設を回ってスタッフとの対話ミーティングを繰り返し、現場の状況、改善の要望、魅力ある職場づくりの提案などを議論しています。そこから見えてきたのは「自分の力を試したい」「違う職場を見て、仕事の内容を勉強したい」ということでした。希望をチャンスや挑戦に変えていき、自己実現とアイデンティティーの確立を目指す姿だと感じました。
朝だけ数時間の勤務や週休3日制など勤務シフトのより柔軟な運用を求める声もありました。希望がかなえられるように制度を変えていくつもりです。スタッフには健康で長く働いてもらい、自分のアイデンティティーを見いだしてもらいたいです。そうした人財の集まる会社は強いと考えます。

多様性のある働き方とはどのようなものなのでしょうか。もしかしたら仕事だけではなく、その人の人生で別の目標があり、自己実現に邁進(まいしん)していてもいいはずです。仕事以外の目標を実現するための働き方を用意し、サポート、応援する体制を会社として整備する必要もあります。
会社とそこで働く人にとって理想的な関係とはどのようなものでしょうか。長く働くことのできる「働き方」「働きがい」とはいったいどのようなものなのか、読者の皆さんから私に「ぶつけてもらいたい」のです。学生の皆さんはこれから社会に出る前に自分の理想を整理してもらい、社会人の皆さんはその経験を踏まえて考えていただけたらありがたいです。皆さんからの自由なアイデアの投稿を楽しみにしています。よろしくお願いします。
編集委員から
職業柄、いろいろな経営者にお会いします。企業戦略の考え方について話を伺うことが多いですが、取材の後半になると人財育成、働き方についての話になることがよくあります。企業規模、業種を問わずです。時には禅問答のようなやり取りになり、その場で納得のゆく正解が導き出されるのはまれです。「働くということ」の頭の体操をしているのです。業績好調な企業ほどそんな気がします。経営者の悩みは尽きません。
今回、伏見有貴社長もスタッフの「働き方」「働きがい」について相当、考えているように思えました。取材が終わりかけたとき、伏見社長が、少し身を乗り出すように語った「私に『ぶつけてもらいたい』」という言葉が印象的でした。
価値観が多様化する中で「働くということ」も一概に説明することは難しいです。人それぞれの「働き方」があっていいはずです。それぞれの「ワークライフバランス」「働き方」「働きがい」について意見、アイデアの投稿を楽しみにしています。
(編集委員 田中陽)
◇ ◇
今回の課題は「一生健康で生きがいのある会社とは?」です。420字程度にまとめた皆さんからの投稿を募集します。締め切りは8月13日(火)正午です。優れたアイデアをトップが選んで、8月26日(月)付の未来面や日経電子版の未来面サイト(https://www.nikkei.com/business/future/)で紹介します。投稿は日経電子版で受け付けます。電子版トップページ→ビジネス→未来面とたどり、今回の課題を選んでご応募ください。