ジョー・プライスさん死去 米国の美術収集家

江戸時代の画家、伊藤若冲の作品コレクションで知られる米国の美術収集家、ジョー・プライスさんが4月13日、老衰のためカリフォルニア州の自宅で死去した。93歳だった。葬儀は近親者で行った。伝統や系譜にとらわれない、米国人らしい明るい感性で江戸絵画を集め、若冲の再評価ブームに一役買った。
1929年、オクラホマ州タルサ生まれ。父が創業した石油パイプライン敷設会社に勤務しながら日本美術の江戸絵画に引かれ、63年に初来日。66年に結婚した妻の悦子さんと二人三脚で美術収集を進めた。
見て気に入った作品を中心に収集。とりわけ多色濃彩画から、ひょうひょうとした筆致の水墨画まで描き分ける若冲の作品を愛した。日本で若冲はそれまでよく知られていなかったが、2000年ごろから関連展が開かれるようになると「いち早く若冲を発掘した米国人」としてメディアにも登場するようになった。
11年の東日本大震災後、美術界に働きかけ13年に被災地の宮城、岩手、福島3県を巡回する展覧会「若冲が来てくれました プライスコレクション 江戸絵画の美と生命」を開いた。高校生以下を無料とし、子供向けワークショップやサイン会も開くなど復興支援イベントにも心を砕いた。コレクションの一部、約190点は19年に出光美術館(東京・千代田)が収蔵した。
プライスさんは17年3月、日本経済新聞に「私の履歴書」を連載した。