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[社説]天安門35年、中国は政治参画の拡大を

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1989年6月4日、中国・北京で民主化を求める学生運動が武力弾圧され、多くの死者が出た天安門事件から35年になる。共産党一党独裁体制は習近平政権の下、一段と強まり、経済をはじめ様々な問題が噴出している。今こそ学生を含む一般国民の政治参画を保障する政治改革が必要である。

中国の人々は今、新たな問題に直面している。共産党トップの習氏は、2期10年までだった国家主席の任期制限を撤廃して3期目入りした。権力集中が一気に進んだ結果、社会全体の柔軟性が失われつつある。

新型コロナウイルス感染症対策として長期間のロックダウンを実施し、それが事実上、失敗に終わったのも典型例だ。IT(情報技術)も駆使した厳格な行動監視で国民は自由を奪われ、過剰な規制で経済は停滞した。民間企業は活動の自由が狭まり、若者の失業率も過去最高水準にある。

2022年末には若者中心に封鎖解除を要求する社会運動が全国的に起きた。この「白紙運動」は天安門事件以来となる大規模な若者による意見表明で、硬直的な政策決定を覆す原動力になった。

ただ、その白紙運動に参加した若者らは、後に厳しい弾圧を受けた。拘束された例もある。天安門事件の後、参加した学生らが拘束・逮捕されたのと似ている。この35年、事態は改善していない。

様々な社会問題はそもそも市民が選挙などを通じて政策決定に関与する権利を持たないことに起因する。中国は政治参画を拡大する政治改革を早急に検討すべきだ。中国で民主化が中長期的にどう進むのかは、分断が問題化している世界の行方をも左右する。

一定の自由を享受していた香港でも民主化は後退している。国家安全維持法、国家安全条例の施行で報道の自由はほぼ消えた。中国に批判的な新聞が閉鎖に追い込まれ、創業者も収監された。議会も親中派一色に染まっている。

こうした大きな変化は、外資の香港離れにつながり、香港の経済社会の発展を阻害している。中国は香港住民の生活を圧迫する政策を見直す必要がある。

中国の知識人、経済人、一般国民の一定数が昨今、中国を出て国外に定住し、活動しようとしている。ひとつの拠点が日本の東京だ。今、なぜこんな異例の事態が起きているのか。中国は自らの足元を見つめ直すべきである。

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