ベルギー「政治空白」世界最長に 連立協議が難航
ベルギーは30日、昨年6月の総選挙後に正式な政府が存在しない「政治空白期間」の世界最長日数を更新する。29日時点で総選挙から289日目で、これまでの最長であるイラクの記録と並んだ。暫定政権であるルテルム内閣が長期化し、国内では総選挙を再び実施せざるを得なくなるとの観測も出ている。
ベルギーでは北部オランダ語圏と南部フランス語圏の政治対立が続いている。昨年の総選挙ではオランダ語圏の将来の分離・独立を掲げる民族主義政党、新フランドル同盟(N-VA)が第1党に躍進。だが、中央政府から地方政府への権限移譲のあり方をめぐりフランス語圏の各党と合意できず、連立協議が長引いている。
この間、暫定内閣は昨年後半(7~12月)の欧州連合(EU)議長国を務めたほか、財政赤字削減に向けた予算編成、対リビア軍事作戦への参加などの重要な決定を下している。
「政治空白」の出口は見えない。N-VAが参加しない形で新たな連立政権をつくる案もあるが、「民意軽視」との批判が出るのは確実。新政権ができないまま総選挙を再び実施した場合、N-VAが再び第1党となり、連立協議の膠着状態が続く可能性も残る。
イラクは昨年3月に総選挙を実施、同12月に新政権が発足した。(ブリュッセル=瀬能繁)