中国、通常兵器輸出で世界5位 国際平和研報告書
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は2008~12年の通常兵器取引に関する報告書を発表した。世界の兵器取引は07年までの5年間に比べ約17%増加、中国が冷戦終結後、初めて輸出量で5位となった。輸入国の上位5カ国がアジアに集中、アジアの軍拡傾向が続いていることも明らかになった。
輸出国の上位4カ国は世界の輸出の30%を占める米国のほかロシア(26%)、ドイツ(7%)、フランス(6%)で、昨年発表された07~11年の報告と同じ。昨年の報告では6位だった中国(5%)が英国を上回った。
中国の輸出量は03~07年に比べ約2.6倍に増加。輸出先としてはパキスタンが55%を占めて突出、8%のミャンマー、7%のバングラデシュが続いた。パキスタンは航空機、潜水艦、軍艦など大型発注をしており、この傾向は続く見通し。中国は1980年代に5位に入ったことがある。
世界の主な輸入国はインドをトップに中国、パキスタン、韓国、シンガポールと続きアジア地域が上位5カ国を独占した。対照的に欧州諸国は厳しい経済、財政事情を反映し、軒並み取引が減少。スペインが新規購入した戦闘機ユーロファイターの売却先を模索しているほか、ポルトガルがF16の売却を検討している。
SIPRIは国・地域別取引について、一部の国がデータを公表していない上「政治的思惑から市場価格とは懸け離れた取引も多い」などとして、金額ではなく数量での割合を発表している。(ロンドン=共同)