14年の10大リスク、首位は「同盟国の米国離れ」 米調査会社
米調査会社ユーラシア・グループは6日、2014年の世界の「十大リスク」を発表した。首位は米国の「同盟危機」。国際政治・経済での影響力低下を受けた同盟国の米国離れに警鐘を鳴らした。2位に新興国の選挙、3位には中国を挙げ、国内問題から目をそらすため指導部が反日感情に訴える可能性も指摘した。
同社のイアン・ブレマー社長は、世界のリーダー不在を示す「Gゼロ」論で知られる。今年は国内の格差拡大などを背景に米国が外交に一段と及び腰になり、Gゼロ現象が加速するとみる。
同氏が「JIBs(ジブス)」と呼び、米国に強く依存する日本、イスラエル、英国などにはそう選択肢がない半面、ドイツやフランス、トルコ、サウジアラビアなどは米国と距離を置き始めると予想。米企業や米主導の経済・安全保障秩序への悪影響を指摘した。
指導部が一新した「新・中国」を巡っては「改革先送りはやめた」と評価しつつ、これが大きな成功と失敗の両方の可能性をはらむと分析。失敗すれば国民の不満のはけ口として「世界で最も大きな地政学的緊張の源泉」である反日感情を利用するだろうとみる。
リスクの第6位にはデータ問題を挙げた。安全保障や国民の監視を目的に国家がデータを収集する傾向が強まり、草の根で開放的だったインターネットが、トップダウン型の戦略分野に変身したと分析。政府への協力をためらう企業が不利になるとの懸念を示した。
(ニューヨーク=西村博之)