首相、沖縄再訪問先送りへ 普天間問題
徳之島3町長、受け入れを拒否
鳩山由紀夫首相は7日、沖縄の米軍普天間基地移設問題を巡って、鹿児島県・徳之島の3町長と首相官邸で会談した。首相は訓練など基地機能の一部移転を要請したが、3町長は「民意は断固反対だ」などと拒否し、首相の徳之島訪問を含め、今後の協議は困難との考えを示した。首相が調整していた15日の沖縄再訪問も地元の反発が強く、先送りとなった。
首相はキャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行計画の修正案と、徳之島への分散移転案を検討してきた。首相はなお沖縄県外への新たな訓練の移転先を模索し、民主党が掲げる日米地位協定見直しなどを組み合わせる「パッケージ」を模索する意向だが地元、米国、連立与党が合意できる案は見あたらない。
首相は約1時間10分にわたった3町長との会談で「日米同盟を維持していくために、沖縄の過重な負担をできるだけ全国で分かち合うことが大事だ」と切り出したうえで「米国と議論する中で距離的に遠すぎたら不可能だとなった。普天間の機能の一部をお引き受けいただければ大変ありがたい」と徳之島側に協力を求めた。
3町長は約2万5800人の移設反対の署名を首相に手渡した。大久保明伊仙町長は「徳之島にはいかなる施設も造らせないという私たちの民意は絶対に変わることはない。断念してほしい」などと訴えた。

出席者によると、首相は「一部の部隊が無理なら訓練だけでも移したい」と理解を求めたが、3町長は「どんな機能であれ、どんな訓練であれ受け入れることはできない」と応じなかった。
首相は徳之島への訪問を打診したが、3町長は「これからますます反対の民意が多くなる。首相とお会いすることはできない」と断った。大久保町長は記者団に、今後の政府側との協議は「もうないのではないかと思う」と語った。高岡秀規徳之島町長は「平行線だと感じるが、議会と話して判断する可能性はある」と述べた。
首相は記者団に「誠心誠意、真心を尽くすしかない。日本の安全保障を誰かが守らなければならない状況の中で、これからも意見交換していきたい」と引き続き、3町長との協議を模索する考えを示した。