「みんなパニック」「水の中の人にも銃撃」恐怖の現場
ノルウェー・ウトヤ島の乱射、10代の若者ら犠牲に
【オスロ=共同】「誰が、何のために」。22日、ノルウェーの首都オスロでの爆弾テロに続き、約30キロ離れたウトヤ島で起きた乱射事件。同国の警察当局者は少なくとも80人が死亡したと語った。難を逃れた男性(19)は「乱射が始まるとみんなパニックで建物から逃げ出した。生きた心地がしなかった」と振り返った。「銃弾を逃れるため、島から泳いで対岸を目指した人もいた」という。
標的となったのは主に10代の若者ら。水温は極めて低く、途中でおぼれる人も。男性は「彼らはきっとたどり着けなかったと思う」と涙ぐんだ。
地元テレビなどが流した映像によると、同島の周りの水面には乱射現場から逃れた若者とみられる人の姿が映っていたが、何人かは全く動いていない様子。別の目撃者は「犯人はまず島内にいた人々を撃ったが、その後に水の中にいた人たちに向けても銃撃を始めた」と話した。
一方、爆弾テロに見舞われたオスロ中心部では粉々に割れた建物のガラスが路上に散乱し、犠牲者を悼むかのように警報音が延々と鳴り響く。官庁街に接し、普段なら深夜まで若者らの活気にあふれる繁華街はほぼ無人で、さながらゴーストタウンの様相だった。
現場から約1キロ離れたアパートに住む男性によると、爆発は「アパートの壁が数センチ揺れたように感じるほど」の大きな衝撃だったという。
「事件発生直後はイスラム過激派のテロかと思ったが、極右の犯行のようだ」。ライフル銃を所持した警官が周囲に目を光らせる中、友人とテロ現場を見に来たパキスタン系ノルウェー人の高校生ムサビ君(17)は、事件で社会に反イスラム感情が広がるのが心配だったと打ち明けた。
銃乱射と爆弾テロ。ノルウェー人の日常生活とは無縁だったはずの2つの異常な事件に、多くの国民はテレビなどのニュースにくぎ付けになった。