官僚OBの「指定席」再就職、9割「天下りでない」
5代連続で官僚OBが就任した公益法人などの役員ポストが411あり、総務省が再就職した官僚OB計2055人を調べたところ、このうち出身官庁によるあっせんが確認できたのは11%の234人にとどまっていたことが分かった。しかし、政府は官庁のあっせんを伴う再就職のみを「天下り」と規定。9割近くは天下りではないことになり、実態と定義がかけ離れ、市民感覚とのずれが浮かび上がった。
民主党は野党時代から5代連続して官僚OBが再就職するポストを「指定席」として追及。調査は、昨年5月時点で理事長や理事らが5代以上官僚OBだった法人を対象に実施し、計327の公益法人と特別民間法人に合わせて411の指定席があることが分かった。
指定席は国土交通省所管法人が最も多く119法人に151ポスト。次いで農林水産省の123ポストだった。
農水省所管の日本農業研究所理事長には同省の事務次官が5代続いて就任。しかし、5人とも農水省のあっせんはないといい、研究所は「能力のある人をヘッドハンティングしている」と話す。農水省には相談せず、法人側がヘッドハンティングした結果、次々、次官経験者が理事長に就いたとの説明だ。
農水省は77人、国交省は55人のあっせんを認めたが、法務省はゼロ。同省人事課は「法人側から(各人に)話があったのだろうが、当方は承知していない」と説明する。
環境省所管法人でもあっせんの確認はない。日本環境協会理事長には5代続けて環境事務次官が再就職しており、今年4月、民間出身者に代わった。協会は「環境行政に精通している人をこちらで選び、結果的に事務次官が続いた。民間人が理事長になったのも天下りへの批判を受けてということではなく、適材適所」としている。
鳩山政権は「天下り根絶」を掲げているが、山内康一衆院議員(みんなの党)の質問主意書に対し「府省庁による天下りのあっせんを受けずに適材適所の再就職をすることは天下りには該当しない」と答弁。斎藤次郎元大蔵事務次官の日本郵政社長就任も天下りではないと説明している。〔共同〕