外国人実習生初の1万人 急増の影で揺れる監理団体
北海道の調査によると、2018年に道内で受け入れられている外国人技能実習生は17年に比べて18%増の1万32人となった。7年連続で増加しており、06年の調査開始以来初めて、1万人を超えた。一方で技能実習生の受け入れを手掛ける農協や商工会などは見えない負担増などを理由に、新たな在留資格の外国人を支援する「登録支援機関」になるかどうかには逡巡(しゅんじゅん)している。

道は1~2月、技能実習生を受け入れて企業などにあっせんする道内外の協同組合や農業組合などの「監理団体」や、単独で受け入れている企業計269団体を調査。うち道内外の128団体・企業から「受け入れ実績がある」との回答があった。
道内の技能実習生は14年からおよそ倍増している。国籍別ではベトナムが全体の52%と半数以上を占めて最多だった。ベトナムは前年比35%増と堅調に推移する。次いで中国が35%と多かったが、前年比では3%減だった。この2カ国で実習生全体の8割以上を占める構造は全国の傾向と重なっている。

受け入れ業種別では食料品製造業が前年比10%増の5357人と全体の53%を占めた。食品製造業のうち水産加工品製造業が75%と多くを占める。農業が13%増の2765人で28%を占めて続く。食品製造業と農業は従来から道内で受け入れの多い業種で、18年も2業種で全体の81%を占めた。入国1年目の実習生の受け入れ事業を担う監理団体を種類別にみると、農協が全国よりも高い7%を占めるのも北海道特有だ。
出入国管理法の改正に伴い、4月から新たな在留資格として「特定技能」が新設された。建設、外食など人手不足が深刻な14業種で即戦力となる外国人を受け入れる制度だ。高い技能と日本語能力を持つ外国人が対象で、即戦力としての期待が高まっている。特定技能となる外国人の多くは技能実習生からの移行とみられており、今後も実習生は増える見込みだ。
一方、道内の多くの監理団体は特定技能の外国人の生活や日本語教育まで支援する登録支援機関になる決断には踏み切れずにいる。道の調査によると、特定技能の登録支援機関になる予定かという質問に対し、監理団体の半数弱にあたる45%が「検討中」と答えるにとどめた。登録支援機関になっても作業負担が増え、十分な効果が得られないといった懸念があるようだ。

検討中と答えた道内のある監理団体は「今の技能実習生向けの作業に特定技能の機関としての作業が加われば負担が大きく、対応できない」と警戒心を隠さない。別の団体は特定技能が同じ業種内で転職できる制度である点に触れて「支援機関として企業にあっせんしても、途中で辞められたら困る。支援機関になる効果がどこまであるか見えていない」と打ちあけた。
一方、農家に実習生をあっせんする別の監理団体は5月に登録支援機関になることを決め、国に申請した。この団体は「人手不足は依然深刻で、即戦力として雇えるため需要は高い」と話す。担い手不足の解消という果実は魅力的だが、新たな機関としての負担増を受け入れるほどの余裕はない。実習生受け入れの実質的な窓口が2つの壁のはざまで揺れている。
(塩崎健太郎)