ベネズエラ大統領暗殺未遂か ドローンで、演説中爆発
【サンパウロ=外山尚之】南米ベネズエラの首都カラカスで4日午後、マドゥロ大統領の演説中、同氏を狙ったドローン(小型無人機)によるものとみられる爆発があった。マドゥロ氏にけがはなかったが、少なくとも7人の兵士が負傷した。政府は複数の容疑者の身柄を拘束したという。マドゥロ氏は「コロンビアのサントス大統領が攻撃の背後にいる」と主張しているが証拠を示しておらず、真偽は不明だ。
市内中心部の大通りで開催された軍のイベントでマドゥロ氏が経済政策について演説していたところ、爆発音が響いた。演説は国営テレビで中継されていた。マドゥロ氏や妻らが驚いて上空を見上げる様子や、隊列を組んでいた兵士が散り散りに走る映像が流れた後、中継は途切れた。
現場近くにいた地元記者は「2度の爆発音があった」と話す。ホルヘ・ロドリゲス通信情報相は「爆発物を運んだドローンによる、大統領に対する攻撃だ」と述べた。

マドゥロ氏は同日夜のテレビ演説で「私の目の前で爆発した」と強調。複数の容疑者を拘束したと明らかにし「ベネズエラの極右組織とコロンビアのサントス大統領が攻撃の背後にいることは疑いがない」と主張した。ベネズエラとコロンビアは国境を接しており、難民問題などを巡り対立している。
マドゥロ氏は「私を暗殺しようと試みた」としたうえで、米国在住者がテロを資金面で支援しているとして「トランプ氏がテロリストと戦うことを望んでいる」と訴えた。
反米左派のマドゥロ氏は5月に主要野党不在の大統領選で再選を果たしたばかり。これまでも同氏を批判する野党指導者を「米国に支援された極右勢力」と決めつけて弾圧を繰り返しており、その強権的な姿勢が国際社会から非難を浴びている。
マドゥロ政権が米国から経済制裁を受けるなか、年内にもインフレ率が100万%に達すると予測されるなど、ベネズエラ経済は混乱状態に陥っている。頼みの綱は世界最大級の埋蔵量を誇る原油だが、採掘設備の整備不足から生産量は減少傾向にある。