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欧州中銀が量的緩和 月600億ユーロ、16年9月まで

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【フランクフルト=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)は22日に開いた理事会で、国債を買い取る「量的金融緩和」に踏み切る方針を決めた。3月から国債を含めたユーロ建ての資産の買い取りを月額600億ユーロ(約8兆円)の規模に拡大し、来年9月まで続ける。デフレ懸念が深まったことから景気と物価のテコ入れのために最後の切り札として温存してきた緩和策の投入に動く。金融市場ではユーロ安が加速しそうだ。

ECBがデフレ対策を理由に国債を買い入れるのは1999年に通貨ユーロが誕生してから初めてだ。ユーロ圏の金融政策は政策金利を上げ下げする伝統的な手法から離れ、国債の購入量などによって物価や景気の調整をめざす新しい局面に入る。来年9月までに新たに買い取る資産の規模は総額1兆ユーロを超す。

過去に米連邦準備理事会(FRB)や日銀は、国債の購入を政策の主軸に採用した。ユーロ圏ではドイツやオランダなどが「財政赤字の穴埋めになりかねない」と指摘し、導入を見送ってきた。デフレへの警戒感を強めるドラギ総裁は今回の理事会で、欧州北部の反対意見を押し切る構えとみられる。

物価を反転させるため自らのバランスシート(貸借対照表)を現在の2兆ユーロ強から3兆ユーロに膨らませるのが望ましいというのがECBの立場だ。「1兆ユーロの上積み」という実質的な目標を国債の購入などにより達成する案も浮上している。

理事会では指標となる政策金利を過去最低の年0.05%で据え置くことを決めた。金利を下げる余地はほとんどなく、国債の買い取りが強力な緩和策として残っていた。

国債を買い取れば南欧諸国が発行する国債の利回りの低下が見込める。国債につられて社債の利回りも下がる見通しだ。企業が金融市場でお金を調達しやすくなれば、目詰まりを起こしていたマネーが再び循環するようになり、設備投資の拡大などを通じて景気は浮上するはずというのがECBの主流の見立てだ。それに伴い徐々に物価も上がり、デフレ不況を回避するシナリオを描く。

ユーロ圏の2014年12月の消費者物価は前年同月に比べ0.2%下落した。イタリアなどでの景気低迷で物価が上がりにくくなっているところに原油の値下がりが加わり、ほぼ5年ぶりのマイナスとなった。

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