かすむ新経連、三木谷氏が会見ドタキャン
ネット企業などが加盟する経済団体、新経済連盟が14日午前、都内で定例記者会見を開いた。だが、代表理事である楽天の三木谷浩史会長兼社長は直前になって出席をキャンセル。理事の一人が会見したものの、記者たちの不満は残った。政策提言を通じてネット産業の育成を図ろうと2012年に華々しく旗揚げした新経連。その存在感はかすみつつある。
会見場は一時騒然

「ありえない」「せめて理由を説明してください」――。三木谷代表理事の会見欠席が伝えられたのは会見予定時刻のわずか5分ほど前。事務局の担当者は「先ほど急きょ決まった話で…」と言うのが精いっぱいだった。
直前に開かれていた連盟の理事会と幹事会には出席していたという三木谷氏。「急用で」という一点張りの説明に、会見場は一時騒然。ようやく落ち着き、会見を始められたのは、予定より20分ほど遅れた11時すぎだった。
記者たちのいらだちが募ったのには訳がある。定例会見は前回の9月も三木谷氏の海外出張を理由に中止になったからだ。会場からは「経済団体としての体を成していない」とのため息も漏れた。
新経連はもともと、楽天の三木谷浩史社長が2010年に立ち上げた「eビジネス推進連合会」を母体とする経済団体で、2012年に立ち上がった。電力会社の発送電分離に慎重な姿勢を示した経団連から脱退した楽天が旗振り役となり、ネット産業の振興に向けた政策提言や政策立案協力を通じて発言権を得る狙いがあった。
会員は減少
楽天やサイバーエージェント、グーグル日本法人(東京・港)などインターネット系の有力企業が顔をそろえ、発足当初の会員数は800社超。だが、今年6月時点での会員数は521社にまで減っている。
勢いの陰りは14日の会見でも見て取れた。会見には三木谷氏に代わって不動産情報サイト運営のネクスト社長の井上高志理事が記者たちの質問に答える役回りだったが、新経連の今期の政策活動の目玉である相乗りサービス「ライドシェア」について聞かれても、説明するのは事務局職員。会員企業が一致団結して新産業を興そうという気概が感じられなかった。
かつては医薬品のネット販売につながる薬事法の規制緩和やネット選挙の実現など、数々の政策を政府に提言してきた新経連。だが、7月にヤフーや米グーグルがIT(情報技術)企業から成る「日本IT団体連盟」が発足するなど、ネット業界からすれば、新経連なしでも発言力を高める場もできた。
けん引役だった三木谷氏の熱意は薄れてしまったのか。既存勢力への対抗馬としての真価が問われている。
(岸本まりみ)
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