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ウナギを食べる日本の責任

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生物保全の国際機関が、日本を中心としたアジア地域に生息するニホンウナギを絶滅の恐れのある「レッドリスト」に指定した。ウナギの供給は、養殖のための稚魚も含めすべて天然の資源に頼る。政府は近隣の各国・地域と協力して乱獲防止に努めてほしい。

レッドリストの指定は法的な拘束力を持たない。だが、生物保護のために国際的な商業取引を規制するワシントン条約の会議はこれを重要な判断材料にする。

稚魚やかば焼きなどの製品を合わせ、日本人が食べるウナギは半分以上を輸入に依存している。2016年に開かれる次回の会議で商業取引の規制が決まれば、供給量の減少は避けられない。

ただ、国際規制の影響を心配する前に、こうした状況を招いた原因が私たち日本人にあることを忘れてはならない。

ここ数年は価格の高騰で消費が減少しているが、以前は世界でとれるウナギの7割を日本人が食べるといわれた。資源減少を裏付けるように国内でとれる稚魚の量は1960年代のピークから大幅に落ち込んでいる。昨年末からの漁獲量の回復は一時的なものと考えた方がいいだろう。

日本の養殖施設は足らない稚魚をアジアからの輸入で補っており、漁獲量は日本以外の地域でも減少傾向にある。

ウナギの稚魚は昨年、平均1キロ200万円を超す高値で取引された。高値で取引されるほど密漁や乱獲は増える。クロマグロの資源を減少させた構図と同じだ。

10年のワシントン条約会議で禁輸措置を免れた大西洋・地中海産のクロマグロは、同海域の資源管理機関が大幅な漁獲量の削減を打ち出すことでようやく資源量の回復にこぎ着けた。ウナギも漁獲量の削減と、密漁に対する監視体制の強化が急務だ。

近年、海洋生物の消費に欧米の保護団体は厳しい視線を向ける。それをはね返して日本人の食文化を維持するには、厳格な管理と資源回復の実証が必要になる。

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