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国政が動かし、国政を変えた 平成の都議選史

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東京都議選は小池百合子知事を支持する勢力の圧勝、自民党の歴史的惨敗で幕を閉じた。都議選は過去も国政とリンクし、その結果は国政の影響を受けるとともに、国政も直撃した。とりわけ米ソ冷戦が終わり、国際情勢が激変した平成になって以降、その傾向が強くなっている。平成の都議選史をみれば、今回の結果が国政に影響を与えるのは避けられない。

知事が主役の初選挙(2017年)

2017年、平成8回目で最後の都議選投開票日は7月2日。現職知事の小池氏が地域政党、都民ファーストの会を率いて選挙戦を駆け回り、49議席へと躍進した。

平成になってからの都議選を迎えた知事は鈴木俊一氏が2回、青島幸男氏が1回、石原慎太郎氏が3回、猪瀬直樹氏が1回。鈴木氏は87年都知事選で自民、公明、民社3党の推薦で当選してきたが、91年は自民党の小沢一郎幹事長が公民両党と別の候補を推し、都連の推薦で党本部を破った。

青島氏から猪瀬氏まではいわゆる無党派候補だった。知事自らが地域政党を率いて選挙戦の主役になるのは大阪が先鞭(せんべん)をつけており、東京では初めてだった。自民党は23議席と過去最低を15議席も下回る歴史的惨敗となった。

自民、歴史的大敗(1989年)

89年、昭和が終わり、元号が平成になった年の都議選は6月23日告示―7月2日投開票。今回とまったく同じ日程だった。

自民党の議席は63だったが、リクルート事件による政治不信、4月の消費税導入に加え、6月に竹下登氏から交代したばかりの宇野宗佑首相に女性問題が直撃。告示日こそ宇野氏は遊説したが、その後は出番がなかった。

さらに選挙戦最中に「首相が一時、辞意」と伝わり、宇野氏の求心力は一段と低下。自民党は歴史的な大敗を喫し、社会党が躍進した。

1カ月後の参院選でも自民党は敗れて初の過半数割れ。宇野氏は「明鏡止水の心境」と言い残して退陣した。

非自民連立への転機(93年)

93年の都議選告示は6月18日。国会では宮沢内閣不信任案が可決されて衆院は解散。自民党は結党以来の大分裂を起こし、東京では衆院選と都議選の「ダブル選挙」の様相を呈していた。

主役を務めたのは日本新党だった。4年前の都議選とは違い、米ソ冷戦の終結による国際情勢の激変、PKO法案をめぐる牛歩や議員辞職戦術などが嫌気され、野党第1党である社会党の支持は低下。「自民党ではない保守政党」への期待が高まっていた。

日本新党は公認だけで20議席を獲得する大勝利で、都議選選対本部長を務めていたのが小池百合子氏だった。小池氏は直後の衆院選で参院からくら替えして当選。自民党は野党に転落し、小池氏が属した日本新党の細川護熙代表が首相になる「非自民連立政権」が誕生した。

小沢新進党の壊滅(97年)

97年の都議選投開票日は7月6日。当時、都知事は2年前に既成政党不信、無党派旋風の象徴として当選した青島幸男氏だった。国政は自民党、社会党、新党さきがけの3党連立による橋本龍太郎政権と、非自民勢力を結集した小沢一郎氏率いる新進党が対峙する二大政党。衆院選は前年の96年秋に終わっていた。

争点は見えにくく、橋本内閣の堅調な支持率もあって自民党は復調。問題は二大政党の一翼を担っていた新進党が議席ゼロと壊滅したことだ。

衆院では新進党に合流していた公明党は当時、参院と地方議会では「公明」として活動しており、これが新進壊滅の一因だ、と新進党首脳部は不満を強め、この年の末に新進党は解党してしまう。

自民党への批判票を集めたのは共産党で、過去最多の議席を獲得して第2党に躍進した。

「自民ぶっ壊す」で大勝(01年)

2001年都議選は6月24日投開票。始まる前も、終わった後も、国政に直結していた。

前年秋、「内閣不支持率が75%に達した内閣は退陣すべきだ」と自民党の故加藤紘一氏が仕掛けた「加藤の乱」は失敗し、森喜朗首相は総裁経験者を入閣させる大型の内閣改造を断行して新年を迎えた。だが支持率は下げ止まらず、都議選が控えていた自民党都連が森氏に退陣を要求。さまざまな要素があって森内閣は総辞職し、後任には「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉純一郎氏が就いた。

小泉氏の登場で局面は大転換された。都議選で自民党は目標50議席を超え、公明党も全員当選した。半面、前回は躍進した共産党が大幅に議席を減らし、社民党はゼロになった。参院選でも小泉自民党は大勝した。

そして郵政解散へ(05年)

05年都議選は7月3日投開票。9月には衆院選があったが、この2カ月間で国政をとりまく風景は一変していた。

都議選で自民党は第1党を維持したものの50議席を割り込み、民主党が大幅な議席増を果たし、新進党にかわる「政権交代可能な二大政党」の姿を現し始めていた。

ところが8月、小泉純一郎首相は政権の命運をかけた郵政民営化法案が参院で否決されると、衆院解散に打って出た。反対派を公認せずに対立候補をたてる「刺客選挙」が話題となり、自民党は300議席近い圧勝を果たし、民主党は大きく後退した。この時、刺客第一号として兵庫県から東京に選挙区を変えたのが小池百合子氏だった。

民主、政権交代へ弾み(09年)

09年都議選は7月12日投開票。直後に迫っていた衆院選での政権交代を予見させる結果となった。

自民党は38議席で過去最低と並び、公明党と合わせても過半数を割り込んだ。一方で民主党は54議席を獲得して第1党に躍進。この勢いをそのままに、8月衆院選で民主党は300議席を超える大勝利をおさめ、自民党からの政権交代を果たした。

安倍総裁で自民大勝(13年)

13年都議選は6月23日投開票。4年に1度の都議選と、3年に1度の参院選は12年で1回、同じ年に接近した時期で実施される。12年衆院選で政権に復帰した自民党は1989年惨敗、2001年大勝の巡り合わせ。この回は大勝となった。

再登板した安倍晋三首相(党総裁)率いる自民党は59人の候補全員が当選。民主党は自民、公明、共産に次ぐ第4党にまで滑り落ちた。

7月の参院選でも与党は勝利して衆参のねじれが解消。民主党は結党以来の最小議席にとどまった。衆院選、都議選、参院選の3つの選挙はすべて同じ傾向を示していた。

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