トランプ氏、空調大手の国外移転阻止へツイート
【ニューヨーク=中西豊紀】米国の祝日にあたる感謝祭の24日、トランプ次期米大統領は「米キヤリア社が米国(インディアナ州)に残留するよう私はがんばって働いている。進展はある」との発言を朝からツイートした。キヤリアは2019年にメキシコに空調機器の生産を移す計画だが、トランプ氏はこの阻止を米国民に改めて公約した。
エアコン大手のキヤリアは今年2月、インディアナ州の工場を閉鎖して労賃の安いメキシコに生産を移す方針を発表している。約1400人の雇用が犠牲になるため地元自治体や労組が反発。国内雇用の重視を掲げるトランプ氏も選挙中から「私が大統領になったらキヤリアは計画撤回を電話で伝えてくる。100%保証する」と同社をやり玉にあげてきた。
具体的な結論についてはトランプ氏は同日「じきに分かる」とツイート。キヤリアはその直後に「次期政権とは議論を続けている。現時点で発表できることはない」との声明をツイートした。これまでのところキヤリアは17年から移転手続きを始めるとしている。
キヤリアの計画はフォード・モーターのメキシコ生産移管とあわせ「大企業の国外流出」の象徴としてトランプ氏が非難してきた。だが、個別の民間投資への政治介入は自由主義を原則とする米国では異例といえる。キヤリアを誘致したメキシコ政府にとっても想定外の事態だ。
インディアナ州はトヨタ自動車など製造業の集積で知られ、トランプ氏を支えるペンス次期副大統領は同州の知事をつとめている。ペンス氏は24日、「この休日はインディアナ中の家族にとって特別なものだ。皆さん、よき感謝祭を」とする定例のツイートを流した。
トランプ氏は感謝祭の期間中、フロリダ州の別荘で家族らとともに過ごしているとされる。