文藝春秋digital「菅首相にダム政策を授けた役人」
菅義偉政権が誕生してはや2カ月、この間、米大統領選で民主党のジョー・バイデンが共和党のドナルド・トランプに勝利し、世界の目が集まった。安倍晋三前政権からの継承を謳う菅新内閣にとってはトランプのほうが何かと好都合だっただろう。昨年、「菅官房長官・ペンス副大統領会談」をセットした駐米国大使館の市川恵一が外務省の北米局長に就任し、トランプ再選を前提に動いてきたのに、菅としても目算が外れた感が否めない。もっとも、もともと菅自身、対米外交は外務省任せだけにあまり深刻にとらえていないかもしれない。
むしろ目下、現首相の関心事はみずから提唱してきた国内政治にある。菅はそのために内閣人事局を使い、官僚たちの人事を操ってきた。やや旧聞に属するが、菅が8月の自民党総裁選前から自らの実績として誇ってきたダムの治水政策もその一つといえる。
治水ダムを所管する国交省の菅系官僚といえば、首相補佐官の和泉洋人が真っ先に思い浮かぶ。和泉は元住宅局長の住宅建設技官でありながら、港湾局や道路局、鉄道局にいたる省内全般に影響力があるといわれる。ダム建設を担ってきた国交省主流派の河川局にも目を配ってきた。
この菅・和泉人事で注目されているのが、技監の山田邦博(62)の去就だ。(以下略)