ならずもの後記「孫正義」の窮地
孫さんと会ったときの話も盛り込んでいます。
孫正義 大豪邸と裏腹に資金に困っていた、話の裏側――。
そう殴り書きした古いノートを見つけた。日付は1997年6月13日、〈特集会議〉とある。筆者が当時所属していた週刊新潮の編集会議で特集記事としてソフトバンクの孫正義をとりあげようと企画案を提出したときのメモ書きだ。孫が「ベンチャー三銃士」と呼ばれ、売り出していた頃である。孫はこの年、豪州の〝メディア王〟と称されたルパード・マードックと組み、日本の通信衛星放送「JスカイB」を設立して自ら社長に就任する。番組提供の提携をもちかけ、テレ朝株を買い占めて物議を呼んだ。と同時に、東京都港区麻布の豪邸を建設中だった。
ただしこの頃の孫は、本格的に事業が軌道に乗っていたとはとうてい言い難い。JスカイBはテレ朝の猛反発を食らった挙句、フジやソニーの出資を仰いで孫自身は社長を退任する。
その孫が密かに「エムエーシー」という個人の資産管理会社を持っていた。個人会社をソフトバンクグループの決算対象企業から外し、これまで買収してきた企業の事業赤字を隠していた疑いが濃厚だった。(以下略)
単行本と併せてよろしくお願いします。