ネット依存、健康悪化など生活に影 治療できる医療機関少なく
世界保健機関(WHO)の国際疾病分類には現時点でインターネット依存の記載はなく、病気とするかどうかは議論が定まっていない。ただ、米国の精神医学会は科学的な証拠が集まれば、ガイドラインを採用するとしており、世界では病気とみなす流れができつつある。
厚生労働省の研究班は今回の調査で「ネットの使いすぎにより、健康や暮らしに問題が発生した状態」をネット依存とし、それを判定する項目を選んだという。
研究班メンバーで、久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は「依存が悪化すると、睡眠以外はネットに夢中で食事も取らず、栄養失調になるなど健康が損なわれることもある」と指摘する。暮らしに及ぼす影響としては、オンラインゲームを長時間利用した金銭問題、家族の注意による人間関係の悪化などがあるという。
同センターは2011年7月に「ネット依存治療部門」を開設。これまでに全国の約500人から相談が寄せられ、約150人が治療のため来院した。
しかし、国内には治療できる医療機関はほとんどないのが実情で、支援にあたる自助グループもあまり育っていない。樋口院長は「ネット依存に詳しい医師や臨床心理士らを育成し、治療体制を整えていくことが急務だ」と話している。