世界農業遺産認定、農産物ブランド化へ 大分と熊本「歓迎」
国連食糧農業機関(FAO)の「世界農業遺産」に熊本、大分、静岡の3県内の地域が認定されることが29日、決まった。3県の知事は同日、石川県七尾市で開かれた「世界農業遺産国際会議」で候補地の特徴を説明し、FAO関係者の審査に合格した。3県は今後、農産物のブランド化や観光振興に役立てる考えだ。
世界農業遺産は都市化や人口減で存続が難しい農法や景観を残す目的でFAOが創設。これまでに世界11カ国19カ所が認定されている。
熊本県の場合、阿蘇市など7市町村で野焼きによって草原を維持する農・畜産業の手法が評価された。蒲島郁夫知事は「阿蘇で育てたコメや牛肉を売る際に、いいアピールができる」と喜んだ。FAO関係者への説明には地元のシェフや農家も参加。認定が決まるとシェフらが感涙を流す場面もあった。
大分県は国東・宇佐地域の6市町村で、名産品であるシイタケの育成にクヌギ林やため池といった生態系が役立っていると認められた。広瀬勝貞知事は「生産者が誇りを持つ契機になる」と歓迎した。
静岡県の認定対象は「茶草場農法」。掛川市など5市町でススキを敷いて湿度を保つ農法を指す。川勝平太知事は「今後も茶草場農法を大事に守っていく」と述べた。