韓国原発2基停止へ 書類偽造の部品が一部不良
電力難も
【ソウル=共同】韓国の原子力安全委員会は28日、同国で稼働中や建設中などの原発計6基の安全装置に、性能確認試験の結果を示す書類が偽造された部品が使われ、一部は緊急時に十分機能しない不良品であることを確認したと発表した。このため同委などはうち稼働中の2基を29日夕までに停止させることを決めた。
韓国には原発が23基あるが、整備などで既に停止中の8基を含め10基の稼働が止まることになる。韓国政府は、夏場の電力需要がピークに達する8月第2週に200万キロワットの供給不足が予想される「類例のない電力難」になると国民に節電を求めている。
朴槿恵(パク・クネ)大統領は28日の閣議で「電力需給がひどく憂慮される」と述べ、原因究明と責任追及を指示した。
6基は南部釜山郊外の新古里(シンコリ)原発1~4号機と、南東部慶州にある新月城(シンウォルソン)1、2号機。事故発生時に冷却装置を作動させる信号を送る「制御ケーブル」が、性能確認試験の書類が偽造された製品だった。
安全委などの分析で、稼働中の新古里2号機と新月城1号機に加え、点検停止中の新古里1号機、運転の許可審査中の新月城2号機の計4基でケーブルが不良品と判明。建設中の2基に使用されたケーブルの性能も調べている。ケーブル交換には最低4カ月かかる見通し。
韓国は原発事業に力を入れ、2024年までに新たに原子炉11基を建設するとともに、30年までに80基を輸出する計画を立てている。
一方で、国内の原発を運営する「韓国水力原子力」では物品納入をめぐる汚職事件が続発。昨年も偽造品や中古部品が不正に納入され稼働中の原発で使われていた事実や事故隠しが相次いで発覚するなど不祥事が続いている。