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米仏の広告大手が合併、世界最大に

オムニコムとピュブリシス、ネット・新興国に照準

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【ニューヨーク=小川義也】広告業界で世界2位の米オムニコム・グループと、3位の仏ピュブリシス・グループは28日、合併することで合意したと発表した。統合後の新会社は現在首位の英WPPを大きく上回り、世界最大の広告・マーケティング会社となる。米仏2社は規模を生かして、インターネット広告や新興国など成長市場への対応力を強化する。

新会社名は「ピュブリシス・オムニコム・グループ」とし、オランダに本社を置く。オムニコムのジョン・レン最高経営責任者(CEO)とピュブリシスのモーリス・レビーCEOが共同CEOに就任。レビー氏は2年半後に非常勤会長に退く。

広告会社の規模を比較する際に使われる売上高総利益(2012年の合算値)は227億ドル(約2兆2300億円)となり、ライバルを大きく引き離す。レビー氏は声明で、「アナログ、デジタルの両面で最も総合的なサービスを顧客に提供できるようになる」と強調。5億ドルの相乗効果も見込む。

英調査会社ゼニスオプティメディアによると、12年に4868億ドルだった世界の広告市場の規模は、15年に5601億ドルに拡大する見通し。733億ドル分の伸びをけん引するのは、媒体ではネット、地域では新興国だ。

02年は広告費全体の3%弱にすぎなかったネット広告のシェアは、13年に20%を突破。スマートフォン(スマホ)向けなどモバイル広告の急成長を追い風に、15年には25%近くに達する見込み。

主役交代は国別の広告費ランキングでも進む。02年に上位10カ国に顔を出していた新興国は6位の中国のみ。だが、12年にはブラジルが6位に入り、中国はドイツを抜いて3位に浮上した。15年にはロシアを含めた3カ国がトップテン入りすると予想されている。

2012年の世界広告企業ランキング単位億ドル。売上高総利益=売上高から媒体費や制作費などを差し引いた、広告会社の純粋な取り分
順位企業名売上高
総利益
オムニコム+ピュブリシス227
WPP(英)165
オムニコム(米)142
ピュブリシス(仏)85
インターパブリック(米)70
電通64
アバス(仏)23
博報堂DYホールディングス22
イプシロン(米)12
MDCパートナーズ(米)11
10エクスペリアン(米)

 市場構造の変化への対応を急ぐのは、オムニコムとピュブリシスだけではない。昨年2月にピュブリシスとの提携関係を解消した5位の電通は、英広告大手イージス・グループを約4000億円で買収。WPPや4位の米インターパブリック・グループも、デジタルや新興国に強みを持つ同業他社のM&A(合併・買収)に力を入れる。

オムニコムとピュブリシスは今年10~12月期か来年1~3月期の手続き完了を見込むが、「巨人」同士の合併実現にはハードルもある。

一つは独占禁止法上の問題。世界最大の広告市場である米国における新会社の事業規模は、2番手のWPPの2倍以上に達する。米調査会社ピボタル・リサーチ・グループのブライアン・ウィーザー氏は「他の市場でも似たような状況。多くの独禁当局にとって黙っていられるレベルではないだろう」とみる。

広告主の理解を得る必要もある。共通の顧客であれば合併後も問題は起きないが、米ペプシコ(オムニコム)と米コカ・コーラ(ピュブリシス)のように、競合する広告主をそれぞれが抱えているケースもある。欧米の広告業界で一般的な「一業種一社」の原則に抵触するだけでなく、情報漏洩などを懸念する大口顧客を別の広告会社に奪われる可能性もあるだけに、慎重なかじ取りが求められそうだ。

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