グーグルの個人情報管理手法に圧力 仏CNILやEU
欧州連合(EU)がインターネット検索最大手の米グーグルの個人情報の管理手法に圧力を強めている。グーグルはEU当局と和解できなければ、サービス内容の変更や制裁金を求められる恐れがある。EUは競争法(独占禁止法)違反の疑いも調査中で、欧州で市場シェアの高い同社とあつれきが強まっている。
「グーグルは正確な回答を全く渡してこない」。個人情報保護に関する仏独立行政機関「CNIL」は18日に声明を発表。電子メール「Gメール」や動画投稿サイト「ユーチューブ」など、グーグルが幅広いサービスで個人情報を一元管理することを問題視している。
CNILはグーグルがどのように個人情報を管理しているのかを明確にするよう求めていた。個人情報の管理をどこまで認めるかを、利用者が決められるようにすべきだとも指摘した。
CNILは昨年10月、グーグルに対し、どのような個人情報を管理しているのか明確にすることなどと注文。4カ月の期限が過ぎても明確な回答がなかったと批判する。
日米欧などの当局は、グーグルが個人情報の取り扱いの新指針を導入した昨年3月ごろから懸念を示していたが、関係者によると、実際に制裁に言及したのは主要国で仏が初めて。グーグルは必要な措置を講じたと説明し、見解は食い違う。
CNILはEUの個人情報保護機関の中心となって調査を行っており、問題が解決されていないと判断すれば、今夏前までに必要な措置を取る方針。是正措置の発動や制裁金などが考えられる。
CNILとしての制裁金は最大30万ユーロ(約4000万円)だが、EUでは年内にも個人情報保護の新規制を決定する予定で、制裁金は最大で企業の年間売上高の2%となる。グーグルに対して最大10億ドル規模の制裁金が科される計算だ。
EUは独占禁止法違反の観点からもグーグルを調査している。EU執行機関の欧州委員会は、グーグルの検索機能が、自社関連サービスなどをライバル会社の情報よりも優先的に表示していると懸念。欧州委のアルムニア副委員長(競争政策担当)は「独占的地位の乱用の懸念がある」として、改善を求めている。
グーグルはEUのインターネット検索で約90%のシェアを握っている。EUは個人情報保護や独占禁止法など幅広い視点で、経済や市民生活に影響がないか注視しているとみられる。
(ブリュッセル=御調昌邦)