仏アレバ、福島原発の原子炉解体技術を提案へ
同社副社長が表明「装置性能に自信」
欧州の原子力大手で、世界の原子力発電所の廃炉でも実績を持つ仏アレバは、東京電力福島第1原発の放射性物質を含んだ汚染水の処理や廃炉に関する技術を、政府と東電に提案した。このほど来日したドミニック・モックリー上席執行副社長兼バックエンド事業本部長は、日本経済新聞のインタビューに対し「装置の性能には自信がある」と強調した。同社は福島第1原発には事故直後に汚染水処理装置を提供したが、廃炉に向けた原子炉の解体技術などでも協力を表明した。
――汚染水処理でどんな提案をしたのですか。
「汚染水処理を大規模に実施するため、原子力の技術と産業界で既に使われている一般的な工法を組み合わせた。この工法は蒸発させて淡水化する技術に基づいており、後にトリチウム除去が必要になった場合に処理しやすくなる」
――トリチウムは海に放出すべきだという意見もあります。
「もともとトリチウムは海中に含まれている。他国の原子力施設では基準以下の濃度にして海に放出しており、アレバもこうした機器を作っている。基準を守って放水すれば、植物、動物、人間のいずれにも被害はない」
――経済産業省の汚染水処理装置の公募では、東電と東芝、日立GEニュークリア・エナジーの共同提案が選ばれました。
「我々のような海外企業が提案するには、入札期間が短すぎた。装置の性能には自信があり、他社と同じ条件で実演したいと考えている。日本の企業とも協力し、これからも技術を提案していきたい」
――廃炉ではどんな技術提案が可能ですか。
「原子力施設の解体の専門技術、たとえば廃棄物の処理や浄化をする技術を持っている。海や湖に沈殿した放射性物質を測る潜水測定器も開発した。こうした設備を提案したい」
――福島第1原発が抱えるリスクは何ですか。
「最も優先すべきなのは原子炉の温度管理だが、事故直後のような最悪の事態はもう過ぎた。これからは設備の信頼性を上げることや、長期間の汚染水や廃棄物処理に備えた組織作りが重要だ。東電はできる限りの対応をしていると思うが、特殊な分野は専門家が支援すべきだ」
(聞き手は科学技術部 川合智之)
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