日銀、銀行保有株購入に苦悩
日銀は2002年9月、銀行保有株に限り、中央銀行としては異例の株式買い入れ方針を決めた。実際の方針決定は金融政策決定会合とは別に開いた政策委員会だったが、今回の議事録からも、株価維持策とは一線を画しつつ株安が金融不安に及ぶのを防ごうとした日銀の苦悩が読み取れる。
02年下期は株安に伴って与党が株価維持策として日銀に上場投資信託(ETF)購入を要求。9月の決定会合では、日銀が金融政策で株価を維持することは「適当でないし、可能でもない」(速水優総裁)と反対論が続出。株価対策とは一線を画すべきだと一致した。
ただ「銀行が大量の株を抱えていて、金融システム不安につながるルートが存在している」(植田和男審議委員)との指摘もあった。速水総裁は「考えるべきことは、金融機関の抱える株価変動リスクをいかに削減するか、金融システム面での対応だ」と訴えた。
山口泰副総裁も「ある程度のリスクを承知のうえでどうしてもかかわらざるを得ない」と銀行保有株の購入に言及。その後、金融システムの安定策として結論に至った。日銀は04年9月にかけて累計で約2兆円の銀行保有株を買い入れ、金融安定に一定の効果があったと指摘されている。