70~74歳の医療費2割負担、参院選後に先送り 厚労省検討
厚生労働省は1割に据え置かれている70~74歳の医療費の窓口負担について、来年4月に2割まで引き上げることを見送る検討に入った。自民党の中に来夏の参院選を前に引き上げを実施すれば、高齢者の反発を招くと警戒する声が多いためだ。参院選後の2014年1月以降に70歳になる人から順次適用する案が浮上している。
70~74歳の医療費は75歳以上の後期高齢者医療制度の創設に伴って08年度から自己負担割合を2割に上げる予定だった。ただ、07年の参院選で惨敗した自民、公明両党の政権は高齢者の反発を恐れて施行直前に1割に凍結。その後を継いだ民主党政権も毎年度2千億円の公費を投じて1割に据え置いてきた。
厚労省の社会保障審議会医療保険部会は13年4月から70歳に到達する人に順次、2割負担を求める案を検討。同省は当初、今年度の補正予算で来年4月からの段階的な引き上げに必要な関連費用を計上する考えだった。団塊世代が70歳以上になると、公費負担は3千億円に急増する。
負担増を先送りすれば、保険料を納める現役世代の負担が膨らむ。保険料を支払う健康保険組合は2割負担を強く求めており、高齢者団体も世代間の対立をあおるのは望ましくないとして容認する構えを示していた。参院選を意識した先送りに批判が広がる可能性もある。
1割負担にとどめていることで、70~74歳の年間の医療費負担は4.7万円と、75歳以上(7.7万円)や60代後半(8.8万円)に比べ突出して低く抑えられている。2割にすると、7.6万円の負担となる。