安倍首相が靖国参拝 「中韓に直接説明したい」
安倍晋三首相は就任から1年にあたる26日午前、東京・九段北の靖国神社を参拝した。安倍氏の首相在任時の参拝は第1次政権も含めて初めて。現職首相の参拝は2006年8月15日の終戦記念日の小泉純一郎氏以来となる。首相は昨年12月末の第2次政権発足以降、第1次政権時に参拝しなかったことを「痛恨の極み」として在任中の参拝に強い意欲を示していた。中国、韓国などの反発は必至だ。
安倍首相は午前11時半すぎ、公用車で靖国神社に到着。モーニング姿で本殿に昇殿した。合わせて「内閣総理大臣 安倍晋三」名で献花した。
首相は談話を発表し「国のために戦い、尊い命を犠牲にしたご英霊に対して、哀悼の誠をささげるとともに、尊崇の念を表し、ご英霊安らかなれとご冥福をお祈りした」と説明。「安倍政権の発足したこの日に参拝したのは、ご英霊に政権1年の歩みと、二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことのない時代をつくるとの決意をお伝えするためだ」と強調した。
首相は参拝後、記者団に「ぜひこの気持ちを中国、韓国に直接説明したい」と語った。
安倍首相は12年9月の自民党総裁選の出馬時に「(第1次政権の)首相在任中に参拝できなかったのは痛恨の極みだ」と強調し、首相に就任した際の参拝に強い意欲を表明していた。自身の支持基盤である党内の保守系議員からも、昨年12月26日の第2次政権発足から1年以内の参拝を望む声が強まっていた。
安倍首相は中国、韓国が第2次世界大戦のA級戦犯を合祀(ごうし)している靖国神社への現職首相の参拝に強く反対していることを考慮し、昨年12月の就任以降、8月15日の終戦記念日や春と秋の例大祭などでの参拝を控えてきた。
戦後50年を機に過去の植民地支配と侵略を謝罪した1995年の村山富市首相による「村山談話」など歴代政権の歴史認識も引き継いだ。
ただ、こうした配慮にもかかわらず、中国が沖縄県の尖閣諸島上空を含む東シナ海に防空識別圏を設定するなど、日本への挑発ともとれる動きを強めたため、首相の靖国参拝を望む周辺議員からは「中韓に配慮しても意味がないなら、早期に参拝すべきだ」との声が上がっていた。
首相は参拝を見送る代わりに春と秋の例大祭時に真榊(まさかき)と呼ばれる供物を奉納。8月15日の終戦記念日には玉串料を納めた。
安倍首相の靖国参拝で中国、韓国との関係改善は難しくなる。小泉政権時代は、靖国問題で中国との関係が冷え込んだ。外務省幹部は「しばらく中韓との関係は動かなくなる」と指摘。日韓両国の関係悪化を懸念していた米国との関係にも影響を与える可能性がある。