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経常赤字が経済の構造転換促す 経済財政白書が指摘

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2014年度の経済財政白書デフレから抜け出す日本経済の将来を展望するとともに、13年秋から単月で経常赤字が出始めた現状が需要だけでなく供給力も高める構造転換を促していると指摘した。デフレ脱却へ進むなかで明らかになってきた働き手不足の問題には女性の活用などで対応し、海外で「稼ぐ力」を見つめ直すべきだとする。

貿易や投資などによるお金のやり取りを示す経常収支の黒字は13年度に8312億円と前年度の5分の1以下に減り、1985年度以降で最も少なかった。黒字が減った最も大きな要因は輸入が輸出を大きく上回り、貿易収支が10兆円を超える大きな赤字になったことだ。

白書は貿易収支が悪くなった理由として輸出の動きに着目している。10年までの輸出構造がその後も続いたという前提で推計する輸出数量に比べると、13年10~12月の輸出量は約10%少ない。海外生産の拡大や、電気機器などの世界市場での優位が下がったことが、輸出を抑えているとみる。

経常収支の動きは日本経済に警鐘を鳴らしているとする。1つは人手不足に代表される供給の制約だ。さらに輸出する品目の優劣が変わったため、付加価値を生み出す「稼ぐ力」を改めて考える必要があるとする。解の1つとして国内外の生産工程を見直し、海外企業には資本財を輸出し、国内拠点は得意分野に特化する「グローバル・バリュー・チェーン」への参画を訴える。

日本は人口減・高齢化では世界の「課題先進国」になっている。個人向けサービスは人口が減ると消費されにくく、生産が下押しされてしまう。一方で医療や介護、旅行などで新たなビジネスモデルを作れば、これから高齢化する海外で売り込める。経済の生産性を保ち、稼ぐ力を取り戻すためにも、医療・介護などへの民間企業の参入が重要だとする。

子育ての支援を進めれば、新たに100万人の女性が「労働力人口」になるとの見方も示した。三菱総合研究所の武田洋子チーフエコノミストは「持続的な成長のため労働力を底上げする取り組みが政府全体に求められる」と指摘する。白書は女性を登用して働き方に「質的な変化」が起これば、長期的には生産性や実質賃金の上昇につながる可能性もあるとした。

政府は6月にまとめた経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で日本経済は「デフレ状況でない」とした。白書はデフレに戻る恐れがない「デフレ脱却」のカギを握る賃金増を起点とした好循環を生み出すために、日本経済の課題をあぶり出すことに力を入れている。

一方で中長期で見た最も大きな課題であるエネルギー問題は取り上げず、企業の立地競争力という観点での分析は少ない。昨年までの白書にあった東日本大震災の被災地における雇用環境などの分析も今回の白書ではなくなった。

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