核燃料サイクル見直し、青森知事「配慮を」 閣僚と会談
青森県の三村申吾知事は22日、藤村修官房長官ら5閣僚と会い、国策の核燃料サイクル政策の見直しにあたり、関連施設を受け入れている同県に配慮するよう要請した。政府は将来の電力に占める原発の比率などエネルギー戦略の見直しを進めており、「原発ゼロ」なら同政策は白紙に戻る。同知事は「責任ある選択」を求め、原発ゼロをけん制した。
三村知事は古川元久国家戦略相、枝野幸男経済産業相、平野博文文部科学相、細野豪志環境相と相次ぎ会談した。「立地地域との協力関係をふまえ、長期的な方針を不透明にせず責任ある選択を」と要望。将来の電源確保の見通しや使用済み核燃料対策などを国が示すよう求めた。政府側は「信頼をないがしろにする選択はありえない」(細野環境相)と応じた。
青森県は核燃サイクル政策を前提に、全国の原発から出る使用済み核燃料の六ケ所村への搬入を認め、再処理工場の立地を受け入れてきた。枝野経産相は「青森県に最終処分場をお願いすることはない」と表明。今の保管施設が恒久的な貯蔵施設になりかねないという地元の不安を否定し、県が歴代の政権に確かめてきた約束に言質を与えた形だ。
仮に「原発ゼロ」を選択し再処理が困難になれば、使用済み核燃料は再び原発に戻される見通し。青森県内で保管している使用済み核燃料は2919トンある。各原発の保管能力は満杯に近く、もし返送されれば、九州電力玄海原子力発電所(佐賀県)など一部原発で、運転が停止しかねない。
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