脱原発、閣僚にずれ 「依存しない社会」「技術者確保重要」
政府の中長期のエネルギー戦略を巡り、関係閣僚から脱原発を目指す発言が出ている。古川元久国家戦略相は21日の閣議後の記者会見で「原発に依存しない社会をつくっていく」と述べた。細野豪志環境相も脱原発が望ましいとしつつ、「原子力技術は国内でも国際的にも不可欠」と指摘。閣僚間で見解の相違もみられた。
環境相は「原子力がない世界が望ましいとの思いを持っている」と語ったうえで、東京電力福島第1原発の廃炉に30~40年かかることから「技術者の確保も極めて重要」と述べた。中東情勢の不安定さや原油価格の高騰を念頭に「化石燃料への過度な依存について真剣に考えるべきだ」とも付け加えた。
政府は2030年時点のエネルギー構成を選択肢で示し、意見聴取会やパブリックコメントを実施してきた。意見聴取会のアンケートは7割以上が「原子力発電への依存度をゼロにすべきだ」と回答した。閣僚から脱原発を意識した声が出始めたのは、次期衆院選を視野にこうした民意を無視できないとの心理が働いているためとみられる。
政府は22日に、意見聴取会などから世論をどう解釈するかを検証する専門家会合を開く。藤村修官房長官は「会合を通じて定性、定量の両面から、国民の意見を総合的に評価する」と述べた。
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