ニコニコ動画の討論会に10党代表が集結
野田・安倍、直接対決 維新・改革は調整つかず
14時15分過ぎ、「ニコニコ生放送」の選挙特番ページが更新され、衆院選公示を前にした党首討論会の参加者が明らかになった。参加政党は、民主、自民、未来、公明、共産、みんな、社民、国民新、大地、日本の10政党。各党、党首・代表が参加する。維新・石原慎太郎代表と改革・舛添要一代表は調整がつかず欠席となり、ネット中継での出演もない。
「Ustream」も生中継
討論会は29日20時から、ドワンゴが運営する東京・六本木のライブハウス「ニコファーレ」で行われ、ネットではニコ動のほか、「Ustream(ユーストリーム)」も生中継する。テレビ各局も中継車を出し、一部局は生中継をはさめないか検討しているという。
ニコ動の討論会をめぐっては、自民・安倍総裁がいち早く参加を表明、「ニコニコ動画の場で、ぜひ野田さんと党首討論をしたい」と呼びかけていた。これに民主党は懸念を表明、26日、安住淳幹事長代行が「双方向と言いながら極めて偏った動画サイトに投稿を許すようなやり方は、逆に、これまでの良き伝統の党首討論を崩すと思う」「フルオープンでやりたい」などと発言し、波紋を呼んでいた。
ニコ動側は26日夜、「根拠の無い誹謗(ひぼう)中傷であり、強く抗議します」などといった抗議書を民主党本部に提出。自民党も、安倍総裁のフェイスブック上に秘書が「ともかく(野田首相は)、誰でも見られて、誰でも意見を書き込めて、全国に生中継される国民参加型のニコニコ動画は嫌らしいのです……。皆さんどう思われますか?」などと書き込むなど、けん制していた。
こうした動きに野田首相は28日、遊説先の福岡市内で記者団に「ニコニコ動画に参加する」と語り、応じる意向を示した。その上で、「もっと幅広く、多くの人に見てもらう公正、中立な討論を私も具体的に提案するので、そちらも受けてほしい」と改めて自民党に求めた経緯がある。
他社の動画生中継も「要望があれば応じる」
「本討論会は、従来通り全メディアに対して『フルオープン』となっています」と困惑するのはドワンゴ。29日は新聞・テレビ・雑誌・フリーランス、ネットメディアなど、すべてのメディアが取材可能。生中継も独占せず、「ネット・テレビなど、他社から要望があれば応じる」としている。
通常、ニコ動は会員登録が必要だが、29日の討論会はニコ動のアカウントがなくても視聴可能。アカウントがあれば後から「録画放送」を視聴することも可能で、視聴回数に制限は設けない。すでに録画の予約数が夕方時点で3万件近くに達するなど、ネットユーザーも注目している。
会場となるニコファーレの壁面には360度発光ダイオード(LED)ディスプレーが設置されており、番組に書き込まれたコメントがリアルタイムで映し出される。参加する党首や代表の視界にも入ることから、ドワンゴは「視聴者も自由に発言できる極めてオープンな討論会」としている。
(電子報道部 井上理)