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「後悔なし」 引退表明の松井、引き際の言葉

会見から

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「一番の思い出は長嶋監督との素振り」。松井秀喜選手が現役引退を表明した(27日、ニューヨーク)

「一番の思い出は長嶋監督との素振り」。松井秀喜選手が現役引退を表明した(27日、ニューヨーク)

巨人、ヤンキースなどで20年にわたって野球ファンに夢を与え続けてきた松井秀喜選手。「ヤンキースの一員として初めてプレーした日と最後にプレーした日のことは一生忘れない」などと引退会見で語った。主な一問一答は以下の通り。

結果が出ず、引退を決断

「20年の野球人生の区切りをつけるにつき、応援して下さったファンの皆様に感謝の気持ちを伝えたくて、このような会見を開きました」

「この決断を下した大きな原因は、今季3カ月しかありませんでしたが、初めてマイナーからスタートし、メジャーに昇格して最初は結果が出た。その後プレー機会をもらい、主軸も打たせてもらったにもかかわらず、結果が出なかった。それが一番大きな要因です」

長嶋監督「ジョー・ディマジオのように」 2人きりの指導に感謝

 「10年前、メジャーに挑戦するとき、命懸けでプレーし、力を発揮する気持ちでいたけれど、やはり結果が出ないので、1つの終わりという感じがした」

「生まれ育った地元の高校に進み、甲子園出場という目標を達成できた。注目して頂き、巨人軍に指名して頂き、当時の長嶋茂雄監督が(ドラフトで)クジを引いて下さった。大変光栄でした。長嶋監督と2人きりで、毎日のように指導して頂き、その日々が僕の野球人生にとって本当に大きなものになった。感謝しても、し尽くせない気持ちでいっぱいです」

「僕がセンターにコンバートされた際、長嶋監督に『ジョー・ディマジオのようになれ』と言われました。当時のヤンキースにはぼんやりとしたイメージしかなかったけれど、99年オフ、初めてヤンキースタジアムで観戦し、ヤンキースの野球は大きなものとして、言葉で言い表せないくらい印象に残っています。3年後、フリーエージェントになるのが分かっていたので、『このチームにほしいと言われるくらいの選手になりたい』と思って、巨人の4番でやっていました」


「ヤンキースでプレーできて最高に幸せ」

「憧れていたヤンキースで7年間もプレーできて、僕にとって本当に最高に幸せでした。ヤンキースの一員として初めてプレーした日のこと、最後にプレーした日のことはおそらく一生忘れることなく、心の中にあると思います」

「エンゼルス、アスレチックス、レイズと1年ずつプレーし、なかなか力になりきれなかった。でも僕の人生にとって非常に大きい。ここ1、2年、成績も若干落ち気味になり、5~6年前から両膝の調子もあまりよくなかった。何とかやってこれたけれど、今日こういう形で報告することになりました。この20年間たくさんの人が応援してくれて、それが大きな力になりました。すばらしい指導者、チームメートとプレーしたことは僕にとって一番大きなことです」

「(今後のことは)まだはっきり決まっていない。少しゆっくりしながら考えたいと思います。生活している以上、何か学ぶ。そういう時間を持ちたいですね」

「日米10年ずつプレーした経験を、いろんな人に伝えていけたらいい。自分なりに経験したものを、いい形で伝える土台を作ることも必要だと思う」

「指導者は現時点では想像していない。もしかしたら将来はあるかもしれない」

――レイズを自由契約になってから4カ月の間、いつ引退を決めたのか

「そういう思いは常にありました。やはり野球が好き。プレーしたい気持ちがあったのも事実。時間をおいて考えようと思い、決めたのはつい最近です」

「衰えを感じたり、燃え尽きたり、そういうことはシーズン中に感じることはない。もがきながら努力していて、そのときに『もうダメ』と感じることはない。ただ結果がでなかった。それにつきると思います」

「10年前の姿に戻れる自信が持てない」 日本球界復帰は断念

――日本球界に復帰する気持ちは?

「確かにありがたい話もありました。10年前、巨人を出たときには、非常に責任をもってプレーしていた。もし日本でプレーすることになれば、おそらく(そうした)10年前の姿を見たいと思って期待する人がたくさんいるでしょう。正直、その姿に戻れる自信が強く持てなかった」

「今から戻ってグラウンドに立つことはできる。しかし、いいプレーを見せることができるかは疑問だった」

――日米通算20年を振り返ってどうですか?

「巨人とヤンキース、長い時間過ごした2チームは特別な思いがある。巨人は僕の故郷のようなチーム。ヤンキースは憧れ。その憧れがいつしか家族のような存在になり、家族の一員になれた気がした」

――現役生活で一番印象に残るシーンは?

「やはり長嶋監督と2人切りで素振りした時間かもしれない」

――長嶋さんへの報告は

「電話なので全てをくみ取れなかったのが残念。『少し残念、でもよく頑張った、ご苦労さま』でした。長嶋さんからプロ野球選手としての心構え、練習の取り組み方、すべてを学び、20年間を支えてくれた」

「巨人の4番を全うするつもりでした」

――引退を最初に告げた人は?

「常に一緒にいる妻。妻は『お疲れさまでした』の一言に集約される。彼女が一番のファンでいてくれた。ケガをしてから結婚したので、心配させる時間が多かったと思う。球場に来ることも普段からないけれど、09年のワールドシリーズは全試合観戦した。それは僕にとっての唯一の恩返しだったかな」

――メジャーに挑戦する後輩にアドバイスは?

「僕からは何か言うことはない。自分を信じてプレーする以外ない気がする」

――小さい子、ファンに夢を与えられたと思うか

「正直、分かりかねる。自分なりに精いっぱいプレーした。野球の面白さ、素晴らしさは伝えられたかもしれない。ファンがどう受け取ったかは僕には分からない」

「引退の決断に後悔はない」

――やり残したことはありますか?

「今振り返ると結果論になる。いくつかそういうことは出てくる。でも、そのときの自分が考えて決断したことに後悔はないです」

――日米通算507本塁打について

「本塁打は魅力の1つ。でも常に意識したのはチームが勝つこと。そのために努力することしか考えてなかった。たまたまこういう結果が出ただけです」

――印象に残っている選手、刺激を受けた選手は誰か

「たくさんいます。巨人の4番を全うするつもりでした。ぼくが入団した当時の4番は原辰徳さん。生え抜きとして、いい形でつなぎたいという思いはあった。後輩では高橋由伸。同じ左打ちで高い才能があって、僕が抜けた後、中心になってくれた」

「ヤンキースではスーパースターばかりで、すごい人とチームメートで不思議だったけれど、この人と同じ空気を吸って話し合う。名前は挙げきれないです」

引退は「寂しい気持ちとホッとした気持ち」

――米国は日本のキャリアの続きでなく、別のキャリアと話していましたがどうですか?

「確かに違うのは事実。振り返ると、区別することはない。日米同じ気持ちでプレーしていた」

――米社会から学んだことはあるか?

「全ては実力次第。それが一番ですね」

――日本は内向きと言われますが、海外に出る方にアドバイスを?

「特別にない。それぞれ考えて行動すること。外国に行くから偉いわけでも、内向きだから悪いというのもない。好きなことをやるしかない」

――人生において野球はどんな意味を持っていたか?

「正直、哲学的なものはない。最も好きなモノ。その一言ではないかと思います」

――引退を発表した今の心境は?

「寂しい気持ちとホッとした気持ち、いろんな気持ちがある。複雑ですね。引退とは思わないし、これから草野球でもプレーしたい」

――自分にかけたい言葉はありますか

「思いつく言葉はない。『よくやった』『頑張った』という気持ちはない。そんな努力したかな? という気もない。日々頑張ってきて、『もう少しいい選手になれたかも』ですね」

「逆に、僕がどう見られていたのかな? とは思う。常にチームが勝つために何ができるか? それを常に考え、気持ちでプレーしてきたと思います。運良く巨人に指名されてクリーンナップを打てて、4番も打て、ヤンキース、エンゼルス、アスレチックス、今年でさえもクリーンナップ。非常に有りがたい。誇りであることは間違いないです」

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