米アップル、新iPad11月発売 薄型・軽量を追求
「ミニ」は高精細画面を採用
【シリコンバレー=兼松雄一郎】米アップルは22日、米サンフランシスコで新製品発表会を開催し、大小2つのサイズがある多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」を薄型・軽量化した新モデルを11月から発売すると発表した。他社を上回る持ちやすさで違いを打ち出す。iPadとしては5世代目となる「iPad Air(エア)」は同一サイズでは最軽量。「iPad mini(ミニ)」には新たに高精細ディスプレーを採用した。
エアの発売は11月1日から米国、日本など41カ国・地域で、ミニは11月後半となる。
エアは従来と同じ9.7型の液晶ディスプレーを搭載した。各部品から少しずつ幅と重さを削ったことで、厚みは現行モデルより約2割薄い7.5ミリメートルに、重さも約3割軽い469グラムに抑えた。角に丸みを持たせるなど持ちやすさにこだわった。
価格は従来と同じ499ドル(約4万9000円)から。旧モデルの「iPad2」も販売を続ける。
一方、7.9型ディスプレーを搭載した小型のミニは約314万画素の高精細ディスプレーを搭載する。エアと同等の解像度にした。最低価格は従来より70ドル高い399ドルとする一方、従来機も30ドル下げて299ドルに値下げして販売を継続する。
MPUはどちらも最新の「A7」を搭載し、基本ソフト(OS)も「iOS7」を採用した。画像の加工など複数のデータ量の多い作業も同時にしやすくなる。電池の通常持続時間も10時間で変わらない。エアでは画像の処理速度が初代比で72倍となった。第2世代にあたるミニの画像処理速度は初代から8倍向上した。
発表会後、製品の展示場に顔を出したティム・クック最高経営責任者(CEO)は「軽くて動作が速い。使いやすさを追求したんだ」と語り、販売拡大に自信を見せた。
アップルはiPadでは製品はよりシンプルかつ高機能に、品ぞろえはより広く、という昨年ごろから採り始めた戦略を踏襲した。より長時間、複雑な操作をする利用者向けには最先端機種を、それ以外の価格に敏感な利用者には既存の機種を値ごろ感のある価格で残して幅広い層に売る狙いがあるものとみられる。
消費電力を減らしつつ、反応性を高めたパソコン向けの新基本ソフト(OS)「Mavericks(マーヴェリックス)」の提供も22日から始めた。地図などのアプリではiPhoneなどと他の製品とも連動しやすい設計とした。
同OSを採用したノートブック型パソコン「MacBook Pro(マックブック プロ)」を22日から発売した。価格は13インチが1299ドル、15インチが1999ドル。13インチモデルの画像処理速度は従来比9割向上したが、価格は前モデルより200ドル下げた。
画像や音楽などの加工を手掛けるような主にプロ向けの「Mac Pro」は12月に発売する。価格は2999ドルから。
さらにパソコンだけでなくiPadやiPhoneなどのアップルの端末を購入すれば表計算、プレゼンテーション、文書作成といったアップルの業務用ソフトが無料になることも発表した。
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