医科歯科大教授に停職処分 iPS虚偽発表問題で
森口氏の論文、関与せずが20本
森口尚史氏がiPS細胞の臨床研究をしたと虚偽の発表をした問題で、東京医科歯科大(東京・文京)は28日、森口氏の元指導教官の佐藤千史教授について、研究内容を検証せずに共著者となった論文が20本あったとする調査結果を発表した。佐藤教授を26日付で停職2カ月としたほか、森口氏に支払った総額130万円余りの経費について佐藤教授への返還請求を決めた。
処分理由として、専門分野でないiPS細胞に関する論文について論理的なチェックをしただけで共著者になったことや、実際に研究に携わらずに共同研究者として経費を支払ったことなどを挙げた。医科歯科大は「研究者としてあるまじき行為で、予算の責任者として重大な瑕疵(かし)があった」と説明している。
医科歯科大は今年10月から計4回の調査委員会を開催。森口氏の大学院時代の指導教官だった佐藤教授が共著者となっている論文23本を調査。うち20本の論文で、佐藤教授は論理性と整合性を確認しただけだったと結論づけた。
また、調査委は佐藤教授が承認し、森口氏に学会参加費などとして、支払った経費は総額約137万円と認定した。うち、130万円については支出の妥当性が無かったと判断し、残りの国際電話代や投稿料など計6万8千円余りは問題がなかったとしている。
調査委員長を務めた森田育男理事は28日の記者会見で、佐藤教授に対し「自分が責任を持てない論文を載せるというのは科学者としてあるまじき行為」と苦言を呈し、森口氏については「真摯に反省することを望む」と語った。