大阪府警、窃盗事件で誤認逮捕 起訴後に男性釈放
大阪府警北堺署が窃盗容疑で逮捕し、大阪地検堺支部が同罪で起訴した堺市の男性会社員(42)を、同支部が事件とは無関係だったとして釈放していたことが20日、捜査関係者への取材で分かった。男性は85日間にわたって身柄を拘束された。
捜査関係者によると、堺市北区の駐車場で1月、車から給油カードが盗まれる事件が発生。同署は4月24日、カードを盗んだとして、男性を窃盗容疑で逮捕した。地検堺支部は不起訴としたが、同署はこのカードを使い堺市内のガソリンスタンド(GS)で給油したとして、男性をガソリンの窃盗容疑で再逮捕、同支部が6月4日に同罪で起訴した。男性は一貫して否認していた。
男性の弁護人の調査で、自動料金収受システム(ETC)の記録から、カードの使用時間帯に男性が別の場所で車を運転していたことが判明。同署は男性がGSで給油する姿が近くの防犯カメラに映っていたことを証拠としていたが、時間表示が実際とは数分ずれており、男性が事件より前に給油していたことが確認された。
同支部は勾留取り消しを請求し、認められたため男性を釈放した。検察側は今後、起訴を取り消すか、公判で無罪論告するかを検討するとみられる。
男性の弁護人の赤堀順一郎弁護士は20日、大阪市内で記者会見し、「男性は誤認逮捕、誤認起訴で回復しがたい不利益を被った。ずさんな捜査をした検察官、警察官の責任は重い」と述べた。